公取委/荷主と物流事業者との取引に関する調査結果を公表
2024年06月07日 10:58 / 経営
公正取引委員会は6月6日、荷主と物流事業者との取引に関する調査結果から、2023年度は荷主573名に対し注意喚起文書を送付、また優越的地位の濫用につながるおそれがあるとして17件の注意を行ったと公表した。
荷主と物流事業者を対象にした取引に関する調査では、荷主3万名、物流事業者4万名に書面調査を実施。さらに、その結果からコスト上昇分の取引価格への反映の必要性について協議をすることなく取引価格を据え置く行為等が疑われる事案について、荷主121名に対する立入調査を実施した。
これらの結果から、独占禁止法上の問題につながるおそれのあった荷主573名に対し、具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送付。業種別では「主に農産物、林産物及び水産物の販売事業等を営む協同組合」「食料品製造業」「飲食料品卸売業」の順に多い結果となった。
注意喚起文書を送付した荷主の行為類型別内訳で最多となったのは【買いたたき】で239件・34.8%。「物流事業者から労務費等の上昇に伴うコスト上昇分の運賃引上げを求められたにもかかわらず、そのような運賃引上げに応じない理由を回答することなく、運賃を据え置いた(金属製品製造業)」、「物流事業者が自助努力で解決すべき問題であるとして運賃の引上げ協議を拒否した(プラスチック製品製造業)」といった事例が挙げられている。
次いで多いのが【代金の減額】(142件・20.7%)。「物流事業者に対し協力値引きと称して、契約書で定めていた運賃を一方的に5%差し引いて支払った(建築材料、鉱物・金属材料等卸売業)」、「運賃の支払方法を手形払から現金振込に変更したが、その際に運賃を一律に5%差し引いて支払った(物品賃貸業)」といった事例である。
【代金の支払い遅延】(17件・17.0%)も多い。主な事例としては「契約書で定めた運賃の支払日が金融機関の休日であった場合に、あらかじめ合意することなく、休日の翌営業日に運賃を支払っていた(金属製品製造業)」、「運送業務のほかに新たに附帯作業を追加し委託したが、荷主の経理部門がそのことを把握していなかったため、当該附帯作業に係る料金の支払が遅れた(その他の小売業)」など。意図的に支払いを遅らせた事例も多いと思われるが、情報共有に問題があったケースも少なくないものと推察される。
【不当な給付内容の変更及びやり直し】(106件・15.4%)は、「運送を行う当日の朝に運送委託をキャンセルしたが、そのような突然のキャンセルに伴い物流事業者が負担した費用を支払わなかった(総合工事業)」、「運送内容を突然変更したが、その変更に伴い物流事業者が負担した費用を支払わなかった(木材・木製品製造業)」などの事例が挙げられている。
この他「物流業務に附帯して輸入通関業務を委託するに際して、関税・消費税の納付を立て替えさせ、物流事業者が荷主による直接納付を求めても応じなかった(はん用機械器具製造業)」【不当な経済上の利益の提供要請】、「運賃として手形期間150日の約束手形を交付した(物品賃貸業)」【割引困難な手形の交付】、「物流事業者に対し、自身が取り扱う自動車共済保険及び定期貯金を契約するよう求めた(協同組合)」【物の購入強制・役務の利用強制】などが独占禁止法上の問題につながるおそれのある事例として取り上げられている。
一方、優越的地位の濫用につながるおそれがあるとして注意を行った17件については、農産物の販売事業等を営む協同組合(3件)、道路貨物運送業(2件)、食料品製造業(2件)、プラスチック製品製造業(2件)、金属製品製造業(2件)など。
行為類型は「不当な給付内容の変更及びやり直し」が最も多く、次いで「代金の減額」、 「不当な経済上の利益の提供要請」の順になった。
公正取引委員会では、今回の調査結果について、関係省庁及び関係団体を通じて周知徹底を図り、違反行為の未然防止に向けた取組を進めていくとし、 また物流取引の状況を把握するため、今後も荷主と物流事業者との取引に関する調査を実施するとしている。
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