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2024年10月10日 14:49 / 車両・用品
矢野経済研究所は、電動商用車の世界市場について、2035年には43.3%まで拡大するとの予測を公表した。
<電動商用車世界販売台数予測 Aggressive予測/Conservative予測(矢野経済研究所)>
10月10日に公表した電動商用車の世界市場に関する調査結果によると、電動商用車の2023年の世界販売台数は105万7000台で、台数全体に占める電動化比率は5.8%。現状は、これまで市場を牽引してきた中国、欧州市場での普及促進策の規模縮小などで、世界販売台数の成長率は鈍化してきている。
しかし、今後は貨物旅客輸送事業者の脱炭素化に貢献できるZEV(EV(電気自動車)、FCEV(燃料電池車))を中心に需要は高まっていくとみられ、電動商用車特有の課題を解決することで、中長期的には販売台数を伸ばしていく見通しと分析している。
電動商用車特有の課題は、販売価格の高さや積載量の低下、航続距離の短さなどだが、各国で対策が進んでいる。積載量に関しては、欧州や米国でZEVに限り、積載量制限の緩和が実施・検討されており、日本においても議論が進んでいる。航続距離に関しては、バッテリ交換方式の大型トラックが2023年に中国で約5500台販売されるなど社会実装が進む。その他、走行中ワイヤレス給電など様々な充電方式が開発・検討されており、貨物旅客輸送事業者が安心して車両を運用できるようインフラ整備が進んでいる。
一方、貨物輸送事業者も、自社の製品配達をEVのみで運用するという目標を掲げる企業も出てきている。また欧州や日本、米カリフォルニア州ではScope3(自社事業の活動に関連する他社の温室効果ガス排出量)を開示する流れから、荷主が貨物輸送事業者へZEVの導入を強く要望する流れが強まる見込み。貨物輸送事業者にとっては「荷主の脱炭素化戦略に貢献する」という新たな企業価値を生み出せる局面となっており、ZEVを活用したグリーン物流などでの高付加価値化が、今後重要な戦略になるとレポートでは指摘。このような背景から、カーボンニュートラル化の潮流、企業の社会的責任、データ利活用という観点からも、電動商用車の普及は今後も促進されるとみられ、EVを中心に電動商用車の販売台数は増加していくものと推察している。
地域別では、中国はNEV「New Energy Vehicle:PHEV(プラグインハイブリッド車)・BEV(電気自動車)・FCEV(燃料電池車)」の販売台数が補助金の縮小で鈍化しているものの、トラックは小型トラックに対する燃費規制などでNEV化を促進し、バスは海外への輸出、海外でのノックダウン生産を進め、国外市場にも活路を見出している。
欧州では主要商用車メーカーが大型EVトラックをラインアップ、代替燃料インフラ規則を基に急速充電器や水素ステーションの整備も進んでおり、大型トラックの電動化に向けてメーカーと政府が連動、運輸部門のカーボンニュートラル化に向けた体制作りを進めていることから、販売台数は増加していくと予想している。
一方、EVは航続距離や積載率低下などの問題を抱えているため、2020年代後半にかけて高稼働・長距離輸送用途向けにFC(燃料電池)トラックのラインアップが増加する見込み。EV一本化ではなく、長距離輸送はFCEV、代替燃料エンジン、近距離・ラストワンマイル用途はEVとパワートレインごとに適材適所が進む見通しとしている。