ミライノ/ドライバー時間外労働の上限規制による所得減少に対応

2025年03月10日 16:14 / 労務

愛知県清須市を中心に運送・倉庫業務を展開するミライノ(旧・三和梱包運輸)は、時間外労働の上限規制による所得減少で、ドライバーの離職率がさらに高まる懸念に対応した施策に取り組んでいる。

3月7日に、名古屋商工会議所が公開した「物流業界の2024年問題 事例集」に掲載された事例によると、ミライノは、課題解決に向けて「物的流通を通じて未来の価値を創造し、社会に貢献する」というミッションを掲げて経営体制の改革を図った。

<ミライノのトラック>
20250310mirai - ミライノ/ドライバー時間外労働の上限規制による所得減少に対応

具体的には、ドライバーの離職を防ぐため、賃上げによる待遇改善に積極的に取り組んだ。賃上げの原資確保のため、荷役作業に適正な対価を設定するなど、荷主との運賃交渉を継続的に実施。交渉には時間を要するが、「ビジネスの場は対等であるべき」という信念を持ち、粘り強く取り組んだ。

また、生産性向上を目指し、一回の運送単価を上げる取り組みも行った。全国ネットワークを活用したスポット運送の受注や、自治体の観光PRやフランチャイズ企業のPRのためのラッピングトラックの運行での広告収益を得るなど、多角的な取り組みを展開した。

こうした取り組みの結果、ベースアップや毎年の昇給を実現した。元々は大手の下請けだったが、経営改革により荷主との直接契約を結んだ結果、売上は10倍以上に増加した。また、荷役作業の対価も得られるようになった。運賃の上昇分に見合う仕事を着実に提供し続けることで、荷主からの信頼も築いた。

社内では、取り組みの一つとして、メンバー全員が主体的に経営に関わる「全員参加型経営」を推進している。例えば、毎月業務の改善に向けた提案をし合うことで「どうしたら改善できるか」「どうしたら目標を達成できるか」を自分の頭で考え、実行することを促進している。

ドライバーをはじめとしたメンバーからは、主体性を求める方針への反発もあったが、ミッションの実現には企業文化の形成が不可欠と考え、理解浸透に努めた。組織力では大手に劣る部分があるものの、社員の魅力を最大限に引き出し、それを競争力の源泉としている。

同社は、2022年に「三和梱包運輸」から「ミライノ」に社名を変更した。創業67年の歴史を活かしながら、物流の既成概念にとらわれない未来(ミライ)を革新創造(イノベーション)することを目標に掲げている。現在、1800社のパートナー企業のネットワークを活用し全国へ配送を行っている。2024年7月にミライノホールディングスを設立した。

なお、「物流業界の2024年問題 事例集」では、物流企業として資源リサイクル企業の「中西」(本社・愛知県豊明市)のデジタル化による業務効率化と障がい者雇用の拡大についても紹介している。

■企業概要
ミライノ
所在地:愛知県清須市春日長久寺61
TEL:052-982-9825
https://miraino-logi.co.jp/

物流業界の2024年問題事例集

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