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2025年05月09日 18:20 / 経営
国土交通省は5月8日、次期「総合物流施策大綱」の策定に向けた第1回「2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会」を開催した。
2030年度に想定される輸送力不足の解消や2050年カーボンニュートラルの実現、自動運転等の技術革新への対応など、大きな変革に対応する施策。検討会では、物流を取り巻く諸課題への対応の方向性について検討を行い、今後の物流施策の在り方について提言を取りまとめる。
検討会は、国土交通省、経済産業省、農林水産省のほか、業界団体や有識者、物流事業者、荷主企業などの有識者31名で構成。オブザーバーとして厚生労働省、環境省、消費者庁、公正取引委員会が同席した。
第1回検討会では、座長に根本敏則氏(敬愛大学 特任教授)、座長代理に兵藤哲朗氏(東京海洋大学流通情報工学科 教授)を選出した。
鶴田告浩久物流・自動車局長は、「一連の法改正などを通じて、物流事業者だけでなく荷主企業も協力して物流を効率化する機運が高まっている。縦割りとよく言われる霞が関においてもそういった機運がある。そういった中で、総理から次期『総合物流施策大綱』について検討を開始しろという指示を受けた。昨年、さまざまな会議体で、『20204年は終わりではない』ということを述べています。需要に供給が追い付かない中で、供給制約というのは、物流だけなく日本全体が直面する課題であり、世界全体も直面する課題でもある」とあいさつした。
2024年問題に対応するため、物流関連予算も拡大しており、2025年度は国費総額2468億円、財政投融資150億円、合計2618億円を物流関連予算として計上している。
第1回委員会では、事務局から、物流を取り巻く動向と物流施策の現状・課題についての説明があったのち、各委員による意見交換を実施した。
学識者である、西成活裕東京大学大学院工学系研究科教授は、「これまで、CLOの設置や物流に関するガイドラインができてきた。しかし、2030年に向けて、物流が変わったことを国民に示す必要がある。私は、一番いいのは、幹線輸送の自動化だと思っている。東京、大阪間を含めて自動化すれば、一番、良いと思う。また、道路だけでなく、港を含めた自動化が、国際競争力の観点からも必要だと思う。こういったことを作り上げることを5年後の目標として、皆さんと共有したい」と述べた。
大串葉子同志社大学大学院教授は、「荷主の意識をどう改革していくのか?これは企業だけではない。個人も正確な時間配送にはコストがかかることを認識する必要がある。加えて、目に見える変化が必要だ。自動配送、ダブル連結トラックなどの成果をきちんと示して、トライアルが実装されるプロセスを描きたい」とコメントした。
二村真理子東京女子大学現代教養学部教授は、「ここ数年間、さまざまな標準化が進んだが、パレットの標準化など物理的な面が強かった。これからは、情報の連携などがすすむと思う。5年後を見据えた、新技術の活用、自動運転や5年後の貨物鉄道の維持が課題となる。また、2024年問題の現状確認が必要だ。人によっては、2024年問題が起こっていないという人もいるため、厳しい現状を伝える必要がある」と指摘した。
奥山理志いすゞ自動車経営業務部門senior Vice-President SVP渉外担当役員は、「当社では、物流の課題を踏まえて、ダブル連結トラック、物流管理の効率化、止まらない車の提供を始めている。委員の皆様から自動運転トラックについてのご意見をいただき、自動運転の開発については、身の引き締まる思いだ。他社を含めて、高速道路の自動運転の実現にむけて開発を進めている」と述べた。
第2回の有識者検討会は6月上旬に実施、7月上旬、7月下旬、8月に構成員からプレゼンテーションを実施し、現状の課題把握を行う。9月には論点整理と提言に盛り込む事項を検討、10月には提言素案を提示する。11月には提言をとりまとめ、検討会の提言を基に、政府として総合物流施策大綱を策定し、2025年度末までに閣議決定する予定だ。