セイノーHD 決算/25年3月期「輸送事業」売上高5541億円、営業利益207億円で増収増益

2025年05月30日 15:16 / 経営

セイノーホールディングスが5月14日に発表した2025年3月期決算によると、輸送事業の売上高は5541億2600万円(前年同期比17.8%増)、営業利益は207億4300万円(35.8%増)となった。

MDロジス(旧・三菱電機ロジスティクス)の持分法適用会社化による新規連結の増収効果もあり、増収増益を確保した。田口義隆社長は、「適正運賃収受が進んだことが、大きな要因となり増収増益となった。一方で、傭車料をはじめとするコスト上昇が営業利益に大きな影響を及ぼした」と決算概要を説明した。

MDロジスなど新規連結企業を除く、輸送事業の営業費用は4707億800万円(2.9%増)、新規連結を除く売上増加は143億1300万円(3.0%増)となり、営業費用増加率は、売上増加率をわずかに下回った。

定年などの退職者に対し新規採用が伸びずドライバーが不足したことに加え、「2024年問題」に伴うドライバーの時間外労働の上限規制によって、傭車・外注費は増加した。

<営業費用の内訳>
20250530seino1 1024x763 - セイノーHD 決算/25年3月期「輸送事業」売上高5541億円、営業利益207億円で増収増益
出典:2025年3月期セイノーHD決算説明会資料

営業費用の内訳は、人件費1910億1400万円(0.4%増)、燃料費177億9100万円(0.7%減)、減価償却費198億100万円(4.7%増)、傭車料・取扱手数料・外注費1882億900万円(5.5%増)、その他538億9100万円(4.3%増)だった。傭車料については、協力会社からの単価のアップが約17億円あった。

主力である特積み事業において、全国展開する路線ネットワークを活かし、自社の強みである長距離・高重量帯を中心に適正運賃収受が進展するとともに、取扱貨物量に相関した運行体制に見直すなど費用の適正化に努め、各政策の実行を推進した。

また、直面するこの「2024年問題」を変革の好機と捉え、2024年5月には日本郵便と業務提携を締結し、幹線輸送の共同運行を開始した。企業の垣根を超えたO.P.P.を通じて、非効率な地域を相互に補完し合うなど、業界全体の効率化を図る取り組みを加速させ、長期的かつ継続的な輸送品質の確保にも注力した。

O.P.P.とは、オープン・パブリック・プラットフォームの略称。社内外、業種の違い等を問わず連携した(オープン)、誰もが使える(パブリック)、物流プラットフォームを構築し、プラットフォーム利用者それぞれの効率化や価値向上、さらには社会インフラとして産業・環境・生活への貢献を実現する構想。

<特積み:物量・単価の状況>
20250530seino2 1024x766 - セイノーHD 決算/25年3月期「輸送事業」売上高5541億円、営業利益207億円で増収増益
出典:2025年3月期セイノーHD決算説明会資料

輸送事業担当の高橋智取締役は、「商品の値上げ・買い控えもあり第3四半期に物量の落ち込みがあった。第4四半期に若干戻したが、通期では(0.7%減と)前年を下回った。適正運賃収受については、+アルファの価値提供をすることで堅調に推移した。3年を一つの周期として前期は約4割の顧客に対して、運賃交渉を実施した。第4四半期からは、(距離×重量ではない個数あたりの運賃契約の)個建契約の運賃改定を開始したが、個建契約は競争が激しく、2%増程度の伸長にとどまった」と物量・単価状況を解説した。

また、貸切の売上高は281億2700万円(7.0%増)と増加した。高橋取締役は、「貸切は、1社の荷物を一人で運ぶ形態が通常だが、2024年問題があり、(業界全体では)長距離の請負ができなくなってきている。セイノーHDでは、貸切ルートの大阪・岐阜・千葉に貸切の中継拠点があり、ここで人が変わることで、リードタイム、品質を落とさずにサービスを提供できており、これが貸切が伸びている要因となっている」と述べた。

なお、拠点展開では、西濃運輸豊川支店(愛知県豊川市)の物流倉庫の建て替えとセイノースーパーエクスプレス福岡貨物センター(福岡市東区)の移転を実施し、ロジスティクスインフラの強化を通じて、収益拡大を図った。

来期の運送事業は、売上高6320億円(14.1%増)、営業利益287億円(38.4%増)の見通し。西濃運輸の特積みでは、日当たり物量0.5%減、単価4.5%増、日数は横ばいを想定している。

西濃運輸 決算/25年3月期、売上高3137億円(2.5%増)・営業利益104億円(0.8%増)

経営 に関する最新ニュース

一覧

最新ニュース

一覧