国土交通白書/ドライバーなど担い手不足で国民意識調査「値上げ受容」40%、賃上げ促進84%

2025年07月22日 16:26 / 経営

国土交通省はこのほど発表した「2025年版国土交通白書」で、「サービスの供給制約に対する国民意識」の調査結果を発表した。

運輸業や建設業では、労働時間が他産業に比べて長く、賃金も低い状態の中で、時間外労働の上限規制に関わるいわゆる「2024年問題」に直面していることに対応した調査。

他産業と比較して高齢化が顕著であり、今後も就業者の高齢化・若年者の入職の減少が見込まれ、中長期的な担い手の確保・育成が喫緊の課題となっている中で、「サービスの供給制約に対する国民意識」を調べた。

<サービスの維持と値上げの関係>
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出典:2025年度国土交通白書(以下同じ)

サービスの維持と値上げの関係についてたずねたところ、「サービス提供を維持するためであれば、多少の値上げはやむを得ない」と回答した人が40.1%と最も多くなっており、サービスを維持するための値上げを受容する人が比較的多いことがうかがえた。

<担い手確保のため、行政に期待する役割>
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担い手確保に関する取組について、行政にどのような役割を期待するかたずねたところ、「賃上げの促進」と回答した人が84.1%と最も多くなっており、賃上げに向けた環境整備等の支援が求められていることが分かった。

<各業種の担い手不足に対するイメージ>
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国土交通分野に関わる業種の担い手不足の状況について、どの程度深刻なものと感じているかたずねたところ、「トラックドライバー」、「宅配ドライバー」、「バス運転手」について、深刻(大変深刻、深刻)と回答した人が7割を超えた。

物流分野における「2024年問題」やバスの減便・廃止状況の影響により、国民に身近な物流や交通分野において、担い手不足が深刻化しているイメージを持たれている。

<トラックドライバーに入職する際の懸念>
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トラックドライバーに入職する場合、どのような点が懸念されるかたずねたところ、すべての年代で共通して「労働時間が長い」、「休みが不規則・取れない」と回答した人が多かった。トラックドライバーへの入職は、全世代共通して長時間労働を懸念していることがうかがえた。

国土交通白書は、第1部「みんなで支え合う活力あふれる社会を目指して」、第2部「国土交通行政の動向」の2部構成。特に、第1部第1章「国土交通分野における担い手不足等によるサービスの供給制約の現状と課題」において、2024年問題を端緒とする人手不足の課題について整理・解説している。

国民の意識に関する調査(国民意識調査)は、2025年2月に全国に居住する18歳以上の個人3000人を対象とし、インターネットを通じて実施した(性別:男・女の2区分で均等割り付け、年齢:20代以下、30代、40代、50代、60代、70代以上の6区分で均等割り付け、居住地:各都道府県の人口比に応じて地域単位で割り付け)。

■サービスの供給制約に対する国民意識(国土交通白書第1部第1章第2節)
※調査結果は42~46頁
https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r06/hakusho/r07/pdf/np101200.pdf

■2025年度国土交通白書
https://www.mlit.go.jp/statistics/file000004.html

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