国際物流総合展2025/ドライバー不足に対応する最新技術など、各社が提案
2025年09月10日 16:22 / イベント・セミナー
物流・ロジスティクスの専門展示会「国際物流総合展2025 第4回INNOVATION EXPO」が9月10日、東京ビッグサイト東展示棟(4~8ホール)で開幕した。
このINNOVATION EXPOは、物流・ロジスティクスの先進技術、情報が収集できる国内最大の専門展示会で、2年に1回秋に開催される「国際物流総合展」と交互で隔年開催しているもの。4回目となった今回は「物流を止めない。社会を動かす。」をテーマに開催され、476社・団体/1876ブースが出展。内外の最新物流機器・システム・情報等のソフトとハードが一堂に集結し、開幕直後から多くの来場者で賑わった。
<トレーラ活用をアピールした日本トレクスのブース>

日本トレクスは、トレーラの活用を提案。同社の誇るトレーラのラインアップや、トレーラ導入をサポートするドライビングスクールなどをパネルで訴求していた。
同社によると、ドライバー不足により高効率な輸送が求められる中で、トレーラの需要は急増。特にウイングセミトレーラとCT(コンテナセミトレーラ)への需要が多いという。ただ、受注増加に伴って納期も伸びており、現在約1年半掛かるという。
そこで同社が提案しているのが、短納期のTQO(トレクス・クイック・オーダー)で、こちらの納期は約半年。特殊な仕様や装備が必要な顧客には向かないが、汎用性を重視する顧客には最適で、特にトラックからトレーラに変更する顧客から多くの受注を獲得している。
<TQOをパネルで紹介>

そして、そのような顧客が増えていることから、「トレクスドライビングスクール」も想定上の利用者が集まっているのこと。このドライビングスクールではセミトレーラコースとダブル連結トラックコースが用意されているが、特にセミトレーラコースの人気が高い。初心者ドライバーの教育はもちろんだが、中には「牽引免許を持っているが長年トラックしか運転していなかった」といったドライバーも受講するなど、幅広く活用されている。
<自動開閉システムを展示した日本フルハーフ>

日本フルハーフは、アオリ電動自動開閉装置「アオリ・エル」を展示。このシステムはシンフォニアテクノロジー(旧:神鋼電機)と共同開発しているもの。これによりウイングとアオリを自動で開閉する。
<アオリを自動で開閉>

このシステムで同社が目指しているのは、ドライバーの負担軽減と労働時間の削減。トラックがバースに着いた後、自動でウイングとアオリを開き、AGF(無人フォークリフト)が荷役作業を行う。その間ドライバーは休憩でき、休憩が終わった後そのまま出発できるというわけである。
<このアームでアオリを自動開閉する>

担当者によると、このシステムは既存のウイング車にも取付可能だという。実用化にはまだ少し時間が掛かるというが、大いに期待されるシステムだ。
<多彩なソリューションを提案する日野コンピュータシステムのブース>

日野コンピューターシステムは、物流ソリューション、安全運行支援、ドライバー健康支援、自動点呼システム、デジタル点検管理など、12社のパートナー企業とともに最新ソリューションを紹介。
特に目を引いたのはドライバーの健康支援だ。リングを装着して一晩寝るだけでSAS(睡眠時無呼吸症候群)スクリーニング検査ができるシステムや、運転中の眠気など体調を見守るシステムなども展示。人口の減少に加えて業界全体で高齢化が進む中で「今いるドライバーさんに、いかに長く働いてもらうか」が同社の大きなテーマだという。ドライバーが減少すれば、トラックも売れなくなってしまうというわけで、物流の維持はトラックメーカーとしても重大な課題である。
<ドライバーの健康を守る各種アイテムを紹介>

一方、メーカー系ならではの強みが、日野のトラック・バスから取得したデータを活用した「日野コネクティッドデータサービス」だ。現在、国内で運行している日野のトラック・バスは約100万台。そのうち25万台以上の車両の位置情報や運転状況、整備状況などの詳細なデータを取得し、顧客に提供可能だ。トラックを安心して導入でき、また高効率に活用できるというわけである。効率の良いトラック輸送の実現に欠かせないシステムといえるだろう。
<車両データの活用はメーカー系ならではの強みだ>

この展示会は12日まで開催。3日間で合計6万名の来場を見込んでいる。
日野コンピューターシステム/国際物流総合展に出展、物流ソリューションなど展示