全日本トラック協会は9月18日、2024年度の「巡回指導における勤務時間等基準告示違反の状況」を発表した。同日開催された、「第18回トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」の資料として公表した。
全国貨物自動車運送適正化事業実施機関が2024年に行った巡回指導では、全調査事業所数2万6903所のうち4601所(構成比17.1%)で、勤務時間等基準告示違反で指摘をした。指摘を受けた事業所は、2023年度から259件減少している。
<巡回指導の概要>

指摘事項の内訳は、「1日の拘束時間」3014件(全調査事業所に対する割合11.2%)、「連続運転時間」1946件(7.2%)、「休息時間」1560件(5.8%)、「その他」1289件(4.8%)となった。
具体的には、「建設関係では着荷主での待機時間、一般雑貨・食品関係では発荷主での待機時間が問題となっている(関東)」、「北関東地域へは1日で行ける距離であるため、1日の拘束時間・連続運転時間・休息期間の指摘が多い(中部)」、「青果物や水産物では、リードタイムにより運賃が異なるため、高い運賃をもらうために無理をする事業者が違反となる場合がある。一部の事業者は中継輸送やモーダルシフトを活用しているが、活用できている事業者は少ない(九州)」といった事例があった。
また、荷主や元請に要請したが、変化が見られないため、その仕事を止めたという事例も見られた。
なお、事業者による労働時間遵守の対策として、「改善基準告示のリーフレットを基に荷主に説明し、拘束時間の削減に成功した」「元請に荷積み・荷卸し時間の短縮を何度も要請した結果、時間が短くなり拘束時間の違反がなくなった」「フェリー輸送を利用して労働時間を短縮している」といった事例もあった。
■巡回指導における勤務時間等基準告示違反の状況(資料4ページ)
https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001911407.pdf
全日本トラック協会/賃上げ実施77.0%、賃上げ率「1~3%未満」が最多(第2回2024年問題対応状況調査)