物流専門の人材紹介サービス「トラッカーズジョブ」を運営するAzoopが実施した特定技能外国人ドライバー制度に関する調査で、運送従事者の6割以上が採用に消極的なことがわかった。
この調査は、2024年12月に制度が開始されたことを受け、今年9月に運送従事者111名を対象にアンケートを実施したもの。
調査結果によると、運送会社の人手不足感(83.7%)と特定技能制度の認知度(96.3%)は高いものの、実際には約半数の企業が採用に向けた具体的な行動を起こしていない。特定技能外国人ドライバーの採用には6割以上の企業が消極的で、その理由としては「日本語能力や運転技術に関する懸念」が最大の障壁となっていることがわかった。
さらに、採用経験企業でさえ、既存の日本人従業員とのコミュニケーションや文化の違いへの対応を課題として挙げている。
<特定技能外国人ドライバーの採用への関心>

特定技能外国人ドライバー制度は、深刻な人手不足に直面する産業が即戦力として外国人材を受け入れるために創設された制度だ。この制度により、外国人が自動車運送業分野でドライバーとして働くことが可能になったものの、開始から約1年が経過した今も、企業の採用意欲は限定的であることが調査で明らかになった。
採用検討層の企業は、日本人ドライバーの採用難を主な理由に挙げており、特定技能制度を経営戦略というよりも労働力不足への対応策として捉えている様子がうかがえる。一方、検討層と消極層の双方で、行政や支援機関に対して費用補助や教育プログラム、トラブル発生時の法的支援などを求める声が多く上がっている。
採用経験企業は、登録支援機関を利用してもなお、在留資格申請や入管手続きに関する支援を求めており、手続きの煩雑さが課題であることが判明した。また、採用後の現場では、文化や言語の違いによるコミュニケーションの難しさが依然として大きな課題となっている。
Azoopの朴貴頌社長は、特定技能外国人ドライバー制度が人手不足解消の切り札として期待されている一方で、現場の受け入れ体制や言語・文化の違いによる課題が障壁となっていると指摘。企業単独での対応が難しいこうした課題を解決するためには、行政や支援機関、業界全体での協働が必要だと述べている。
物流は社会インフラとして日本経済の基盤を支える重要な領域であり、ドライバー不足の問題は長期的な視点で解決する必要がある。Azoopは今後も、現場の実態を正確に捉える調査を通じて、制度の浸透と業界の持続可能な成長を支援していく方針としている。
■Azoop(https://azoop.co.jp/)
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