物流課題解決に向けた日本トレクスの取り組み トラックからのステップアップを支援する 「トレクスドライビングスクール」を体験(後編)

2026年03月27日 09:30 / トラック最前線

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セミトレーラの技術講習に続き、日本トレクスのドライビングスクールでは全長約25mのダブル連結トラック(通称:SF25)の運転も体験した。
前編で体験したセミトレーラの挙動理解を土台に、より長大かつ複雑な連結構造を持つ車両へとステップアップする構成であり、長大車両ならではの車両特性や操作のポイントを学びながら、その輸送効率の可能性と実用性を探った。さらに本稿では、現場視点から見た“今すぐ使える物流の現実解”としての意義についても考察する。
取材協力:日本トレクス株式会社
取材場所:とよはし産業人材育成センター(愛知県豊橋市)
取材・文:山城利公(モータージャーナリスト)

セミトレーラの延長線上にある“次の段階”

セミトレーラの講習を一通り終えた後、続いて体験したのが今回の取材の本命となるダブル連結トラック(SF25)の技能講習である。

ダブル連結トラックは、ドライバー不足や輸送効率向上への対応策として注目されている車両のひとつ。1人のドライバーがより多くの貨物を運ぶことができるため、幹線輸送の効率化につながる可能性が期待されている。まさに、現在の物流課題に対する現実的な“解”のひとつとして位置づけられている存在である。

ダブル連結トラックは、トラック(フルトラクタ)にドリーと呼ばれる台車を介してフルトレーラを連結した車両で、全長はおよそ25mに達する。一般的な大型トラックの全長が約12m、セミトレーラでも約17m程度であることを考えると、その長さはまさに“長大車両”と呼ぶにふさわしい。

もっとも、その長さゆえ運行にはさまざまな条件が設けられており、運行ルートや車両装備、ドライバーの経験なども一定の基準を満たす必要がある。今回の講習では、そうした制度や車両構造の解説に続き、実際の車両を使った運転講習が行われた。

構造理解から始まる長大車両の基礎

座学講習ではまず、ダブル連結トラックの構造についての解説があった。

この車両は「フルトラクタ」「ドリー」「フルトレーラ」という3つのユニットで構成される。先頭のトラックが牽引役となり、その後方にドリーを介してトレーラが接続される構造だ。この間にある「ドリー」の存在が、セミトレーラとの決定的な違いである。

<今回の講習で使用されたダブル連結トラック。トラック、ドリー、トレーラで構成され、全長は約25mにも達する>
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ドリーは小型の台車のような役割を持つが、実際には連結車両全体の挙動を左右する重要な存在である。ターンテーブルや補助輪、エアラインや電源カプラなどが備えられており、トラックやトレーラと接続する際にはそれぞれの接続状態を確実に確認する必要がある。エア供給や電気系統の接続が不十分なまま走行すれば、安全な運行に支障をきたす恐れがあるためだ。

また、ドリー単体では公道走行ができないことや、取り扱い時には輪止めの使用やロックピンの固定が必要になるなど、運用上の注意点も多い。こうした基本構造を理解することが、安全運行の前提となる。

ドライバー1人あたりの輸送効率が大幅に向上

ダブル連結トラックが注目される大きな理由は、その輸送効率の高さにある。講習資料によると、一般的な大型トラックの荷室容積が約60m3程度であるのに対し、ダブル連結トラックでは約130m3と、2倍超の輸送能力を確保することができる。

これは単なるスペックの違いではない。輸送回数の削減、人員の最適化、コスト低減といった、物流全体の効率化に直結する要素である。1人のドライバーで運べる貨物量が増えることは、現在の物流課題に対する直接的な解決策となり得るのだ。

また、トラックとトレーラを分けて運用できる点も特徴である。物流拠点でトレーラを切り離して荷役作業を進め、その間にトラック側を別の輸送業務に活用するなど、柔軟な運用が可能となる。さらに、切り離したトレーラ側のドリーを外し、代わりにトラクタを連結させることで、通常のセミトレーラとしての運用も可能になる。

中継輸送や共同輸送との親和性も高く、ダブル連結トラックは単なる長大車両ではなく、物流システム全体の設計にも好影響を与える存在といえる。

<トラックとトレーラを分けて運用できる>
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実車講習前に行われた運転操作の解説

実車講習に入る前には、ダブル連結トラック特有の挙動についての解説も行われた。担当講師は、ミニチュアの車両模型を用いながら、トラック、ドリー、トレーラの動きの関係性を、ポイントを抑えながら分かりやすく説明していく。

<ミニチュアの模型を使い、トラック、ドリー、トレーラの動きを分かりやすく解説。ダブル連結車両の挙動を視覚的に理解できる>
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ダブル連結トラックは屈折点(セミトレーラでいう連結部)が2か所存在するため、旋回時にはそれぞれの車軸が異なる軌跡を描く。特に右左折ではトラックとトレーラに加え、ドリーの動きも影響するため、車両全体の動きをイメージすることが重要となる。

特に、講師は「トラック後輪の位置」を基準に操作することの重要性を強調していた。これはセミトレーラにも共通する基本であり、前編での経験がそのまま応用されるポイントでもある。

スクリーンに映し出された図では、トラック前輪、後輪、ドリー、そしてトレーラ後輪がそれぞれ異なるラインを描く様子が示されていた。講師によると、交差点でのハンドル操作は「トラックの後輪がコーナーを通過するタイミング」を目安に切り始めると良いとアドバイスしてくれた。

また、左折時にはドリーのタイヤと縁石の距離をミラーで確認することが重要で、ドリーとトレーラ後輪の内輪差はおよそ1m程度になるケースもあるという。こうしたポイントを理解しておくことで、長大車両でも安全で安定した旋回が可能になる。

そして最後には、バック操作(左右バック)についても解説が行われた。ダブル連結トラックのバックは、トラック、ドリー、トレーラの姿勢を常に意識しながら操作する必要がある。基本的な考え方としては、「同心円を描くイメージ」で車両をコントロールしていくという。

ドリーは大型車の前輪と同じような役割を果たすため、トラックの向きを変えることでドリーの向きが変化し、その結果トレーラの進行方向も決まる。つまり、トラックの操作が連結車両全体の動きに連動していく構造である。

こうした理論を事前に理解しておくことで、実際の運転でも車両の挙動を予測しやすくなるというわけだ。

技能講習 25m車両の運転に挑戦

座学と操作解説を終えると、いよいよ実車での技術講習へと移る。

今回使用されたのは、冷凍バン仕様のダブル連結トラックで、全長は約25m。実車を前にすると、その存在感は想像以上だ。ただ、車体全体に優しさが印象的なデコレーションが施されているからか、その迫力よりもどこか親しみを感じる安心感があった。

まずは外周走行からスタートし、ミラーで後方の動きを確認しながら車両感覚をつかんでいく。セミトレーラと同様、ミラーで全体の動きを把握することが基本となるが、連結部(屈折点)が増えたことで挙動には独特の遅れと連動が生まれる。

続いて行われた右左折訓練では、進路の取り方とミラー確認の精度が問われる。特にドリーの位置は死角に入りやすく、その動きを想像しながら操作する必要がある。長大車両の運転は、見えている範囲だけでなく“見えない部分をどう捉えるか”が重要となる。

<まずはコース外周を走行しながら車両感覚を確認。長大車両特有の挙動を体感していく>
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スラローム走行やバック操作では、その難しさがさらに際立つ。トラクタ、ドリー、トレーラの動きを同時に把握しながら、小さな(小刻みな)ハンドル操作を積み重ねていく。焦らず、丁寧に、車両全体を見て修正、コントロールしていく。その基本の重要性を改めて実感する内容だった。

物流効率化の現実的な選択肢を支える日本トレクス

今回の講習を通じて感じたのは、ダブル連結トラックが持つ輸送効率の高さと、その現実的な可能性である。

物流業界ではドライバー不足が深刻化しており、いわゆる「2024年問題」以降、その影響はさらに顕在化している。こうした状況の中で、1人のドライバーでより多くの貨物を運べるダブル連結トラックは、輸送効率向上の有力な手段として注目されている。

同時に重要なのが、こうした車両を支えるメーカーの取り組みである。日本トレクスは、トレーラメーカーとしての車両開発だけでなく、より物流効率を高めるさまざまなソリューションを展開している。

例えば、スワップ式冷凍バンボデーなどの「温度管理車シリーズ」は、荷役効率と温度管理を両立する仕組みとして注目される存在だ。また、「TQO(トレクス・クイック・オーダー)」により、仕様の標準化と短納期対応を両立し、顧客に対する導入のハードルを下げる取り組みも進められている。

単に車両単体の開発・製造だけではなく、物流全体の効率を見据えた開発姿勢こそが、同社の大きな特徴であり、強みといえる。

<短納期を実現した「TQO(トレクス・クイック・オーダー)>
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物流の現実解としてのダブル連結トラック

自動運転などの将来技術が注目され、将来的には物流のあり方を大きく変える可能性もある。しかし、社会実装までには時間がかかるとみられ、現時点での課題解決には既存技術を活用した取り組みが重要になる。その意味で、ダブル連結トラックは“今すぐ使える解決策”としてすでに存在している。

そうした現実を踏まえると、物流の将来像として語られることの多い自動運転技術に対し、現場目線ではやや違和感を覚える場面もある。

もちろん、自動運転は将来的に大きな可能性を持つ技術であることは間違いない。しかし、社会実装にはなお時間を要するのも事実だ。

それに対し、ダブル連結トラックや隊列走行は、制度整備と実証が進み、“今すぐ効果を発揮できる現実解”としてすでに機能し始めている。

にもかかわらず、議論の中心が将来技術に偏りがちな現状を見ると、現場との温度差を感じざるを得ない。物流の課題が待ったなしである以上、将来技術の推進と並行して、すでに実用段階にある手法をいかに加速させるか?。その視点こそ、これからの政策に求められる重要な要素ではないだろうか。

もちろん、「制度・車両・教育」そのすべてが揃ったとき、はじめて成立する輸送形態ではある。今回の講習は、その実装がすでに進み始めていることを示していた。

前編で体験したセミトレーラが基礎であるならば、ダブル連結トラックはその延長線上にある拡張技術といえる。そしてその先にあるのは、車両の進化ではなく、物流そのものの進化である。

物流の効率化と安全性の両立を支える取り組みとして、日本トレクスの「ドライビングスクール」は、今後の物流を支える重要な基盤のひとつとなっていくはずだ。

<セミトレーラ、ダブル連結トラックすべてのカリキュラムが終了。所定の科目を修了したことを証する「修了証書」が手渡された。会社説明から商品紹介、トレーラに関する様々な項目をとても分かりやすく解説していただいた座学担当の坂田さん(右)、技能講習担当の中根さん(左)>
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■日本トレクス ドライビングスクール
https://www.trex.co.jp/products/driving-school/

【取材・文:山城利公(やましろ・としまさ)】
1963年・東京生まれ、モータージャーナリスト/プロドライバー
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
幹線輸送トレーラのドライバーとして200万km(約20年・地球50周以上)におよぶ無事故運行の実績を持ち、商用車技術と物流業界に精通。実体験と現場視点をもとに、クルマ社会の「今」と「未来」を発信するとともに、商用車関連の技術評価や実証プロジェクトにも関与している。
大型けん引免許(ダブル連結トラックSF25技能講習修了)/自動車整備士(国家資格)/整備管理者(選任資格)/国内競技運転者許可証A級(JAF公認)/JAF公認審判員ライセンス(コースA2/技術A2)/フォークリフト運転技能講習修了

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