ジャパントラックショー in 富士スピードウェイ 2025/現場と未来をつなぐ“走る”展示会

2025年10月28日 14:02 / イベント・セミナー

10月26日(日)、富士スピードウェイがトラックの祭典に包まれた。

「ジャパントラックショーin Fujispeedway」は、毎年5月にパシフィコ横浜で行われる国内最大級の商用車展示会の特別版として開催され、今年で3回目を迎える。“見て・乗って・感じるトラック”をテーマに、業界関係者だけでなく一般来場者にもトラックの魅力と役割を伝える、体験型イベントとして定着しつつある。

会場となった富士スピードウェイでは、広大なコースとパドックを活用し、展示と走行が一体となったプログラムが数多く用意されている。メインイベントは、国際レーシングコースを舞台にしたトラック・パレードラン。約50台の大型トラックやトレーラーが一斉に走り抜ける音と光景は圧巻で、間近にいた観客からは歓声とカメラのシャッター音が響き渡っていた。普段は物流現場で働く車両が、この日ばかりは“主役”としてサーキットを駆け抜けた。

<大迫力のトラック・パレードラン>
20251028fuji 1024x473 - ジャパントラックショー in 富士スピードウェイ 2025/現場と未来をつなぐ“走る”展示会体験試乗会では、来場者自身が実際にハンドルを握り、全長約4.5kmのコースを走行。プロドライバーによる同乗体験会では、最新トラックの加速性能や静粛性、安定感を体感できるとあって、終始人気を集めていた。特にEVトラックや最新モデルの体験試乗では、「環境性能と走りの両立」を実感する声が多く聞かれた。

一方、パドックエリアでは、メーカーやサプライヤー各社が最新の車両・パーツ・用品を展示。タイヤや潤滑油、架装機器、整備機材などのブースでは、業界関係者同士の情報交換も活発に行われていた。

<各種用品などの展示も充実>
20251028fuji 2 1024x473 - ジャパントラックショー in 富士スピードウェイ 2025/現場と未来をつなぐ“走る”展示会周囲では、はしご車搭乗体験やレッカー作業の実演、大型トラックとの綱引きなど、子どもから大人まで楽しめる体感型アトラクションも展開され、みな思い思いに楽しんでいた。また自衛隊車両の展示や役割、さらにドライバーの仕事内容や働きがいをアピールする関係者も多く、トラック業界の社会的役割や安全・技術の重要性を伝える場にもなっている。

<最新トラックの魅力を体感>
20251028fuji 3 1024x473 - ジャパントラックショー in 富士スピードウェイ 2025/現場と未来をつなぐ“走る”展示会イベントを通じて印象的だったのは“動いてこそ伝わるトラックの魅力”を、多くの子供や大人が実感していたこと。富士スピードウェイという非日常の舞台を存分に活かし、静的な展示では見えない、実際に「走る姿」や「働く姿」を目の前で観てもらうことで、業界の誇りと未来を感じさせるイベントだった。ジャパントラックショー in 富士スピードウェイは、単なる展示会ではなく、トラック業界が社会とつながるための新しい“交流の場”として、今後ますます存在感を高めていくことだろう。

<フルアクセサリー仕様のスーパーグレートを展示した三菱ふそう>
20251028fuji 4 1024x686 - ジャパントラックショー in 富士スピードウェイ 2025/現場と未来をつなぐ“走る”展示会■三菱ふそうトラック・バス

街を走るトラックの中でも、ひときわ頼もしい存在感を放つのが三菱ふそう。長年にわたり「働くクルマ」を作り続けてきた老舗メーカーであり、その品質と耐久性はプロドライバーから厚い信頼を集めている。現在は世界170以上の国と地域で「FUSO」ブランドのトラックやバスが活躍し、日本発のグローバルブランドとして進化を続けている。

中でも注目は、世界初の量産電動小型トラック「eCanter(イーキャンター)」。静かで力強い走りとゼロエミッションを両立し、環境にやさしい次世代の配送を支えている。日本国内はもちろん、ヨーロッパやアジア各国でも導入が進み、EVトラック時代の先駆けとして存在感を高めている。さらに、トラックを“売って終わり”にしないのもふそうの強み。運行管理やメンテナンスまでトータルでサポートし、ドライバーが安心して働ける環境を整えている。変わりゆく時代の中でも、“走る・運ぶ・つなぐ”という使命は変わらない。

そしてもう一つ注目したいのが、日野自動車との新たなパートナーシップ。互いの強みを生かしたシナジーに期待が高まる。展示車両として登場したフルアクセサリー仕様の「スーパーグレート」は、イルミネーションが印象的な上質なインテリアが特徴で、女性ドライバーにもきっと好まれそうだ。

<いすゞA&SはCROSS STYLE ACCESSORIES装着車を展示>
20251028fuji 5 1024x623 - ジャパントラックショー in 富士スピードウェイ 2025/現場と未来をつなぐ“走る”展示会■いすゞA&S

全国の物流現場で活躍するいすゞトラック。その信頼性の裏側には、縁の下で支える存在がある。いすゞA&Sは、アフターサービスと部品供給を一手に担う専門会社。社名の「A&S」はAftermarket & Serviceの略で、2022年の設立以来、全国の販売会社や整備ネットワークと連携し、純正部品やリマニュファクチャリング部品、整備技術の支援を一元管理している。

整備士の手元に部品が確実に届くことで、車両は止まることなく稼働を続けられる。さらに海外向けのパーツ供給も手がけ、グローバルでのいすゞ車の信頼性維持にも貢献。まさに“走り続けるトラックを支える縁の下の力持ち”だ。

会場で展示されたのは、現場力をベースに遊び心をプラスしたCROSS STYLE ACCESSORIES装着車。プロの現場に応えるリアルな性能を備えつつ、無骨で精悍なデザインが印象的なカスタムモデルだ。

ユニバーサルなエルフmioのキャラクターを活かし、仕事と遊びを融合した“本気仕様のカスタム第一弾”。荷台の実用性や機能面を重視しながらも、街でもアウトドアでも映える存在感を放つ。日常の業務をこなすツールでありながら、オーナーの個性を表現できる新しいトラックのスタイルを提案している。仕事にも遊びにも全力を尽くす、できる大人にこそふさわしい1台だ。

<レーシングコースを走行する日本トレクスのダブル連結トラック>
20251028fuji 6 1024x473 - ジャパントラックショー in 富士スピードウェイ 2025/現場と未来をつなぐ“走る”展示会■日本トレクス

日本トレクスは、国内トップクラスのトレーラー・トラックボディメーカー。軽くて丈夫なアルミや高張力鋼を使ったボディは、荷物を安全に運ぶ現場で頼りにされている。燃費や積載効率を考えた設計、環境に配慮した新技術の導入にも積極的だ。現場の声を大切にしたものづくりで、国内外の運送会社から厚い信頼を集めている。目に見えない部分で物流を支えるトレクスのボディは、まさに働くクルマの“縁の下の力持ち”。

そんな日本トレクスといえば、やはりダブル連結トラック。今回、試乗の機会を得て少し運転してみた。全長25mの迫力は圧倒的で、セミトレーラーとは違う奥行き感がある。ただ、思ったよりも後ろのトレーラー側の追従性は良く、特別なハンドル操作はほとんど不要。こうした操作性にも設計の巧みさが実感できる。もちろんセミトレーラーほど機動性はないが、高効率な幹線輸送のメインパートナーとしての実力は十分だ。

さらに日本トレクスでは、車両販売だけでなくドライバー育成にも注力。ダブル連結トラックを安全に運行するためのドライビングスクールを実施し、修了証を取得できる仕組みも整えている。次世代の物流ニーズに応える取り組みが、ここにも表れている。

<トラック用アルミホイールを展示したトピー工業>
20251028fuji 7 1024x473 - ジャパントラックショー in 富士スピードウェイ 2025/現場と未来をつなぐ“走る”展示会■トピー工業

全国の物流現場で日々走り続けるトラック。その足もとを静かに支えているのが、ホイールメーカーのトピー工業だ。創業以来、鋼製ホイール分野で国内トップクラスのシェアを誇り、強さと軽さを両立した確かなモノづくりで多くのメーカーから厚い信頼を得ている。

トピー工業のホイールは、重量車が長距離を走っても変形しにくく、安定した走行バランスを維持する精密な設計が特徴。近年は燃費や積載効率を高める軽量モデル、電動トラック向けの低転がり抵抗タイプなど、新しい時代に対応した開発にも積極的だ。塩害やサビに強い特殊塗装や足もとを引き締めるデザイン性の高いホイールなど、見た目にもこだわる姿勢が光る。

仕事用トラックだけでなく、カスタム志向のオーナーからも注目を集めている。また、近年急速に高まるアルミホイール需要に応え、鍛造アルミモデルを投入。鏡のように磨き上げたポリッシュ仕様と、防汚コーティングを施した上級タイプの2種を展開する。ドライバーの洗車負担といった業務効率化に加え、軽量化による積載性向上も実現している。まさに、働くトラックの“足もと”を進化させ続ける存在といえる。

<トラックオーコクは小型EVトラックFOTON「eAUMARK」を展示>
20251028FUJI 8 - ジャパントラックショー in 富士スピードウェイ 2025/現場と未来をつなぐ“走る”展示会■FOTON MOTOR

中国の商用車メーカーFOTON MOTOR(フォトンモーター)は、世界160以上の国と地域で走るグローバルブランド。1996年に設立され、トラックやバス、建設機械、さらには電動商用車まで幅広く手がけている。近年はEVや燃料電池車の開発にも注力し、環境にやさしい次世代の“働くクルマ”づくりを進めている。

今回試乗した小型EVトラック「eAUMARK(イーオーマーク)」は、欧州で高い評価を得ているAUMARKシリーズをベースに、日本の道路事情や物流ニーズに合わせて導入されたモデルだ。精悍で無駄のない外観は国産ライバルにも劣らず、内装も派手さを抑えつつドライバーが運転に集中できる実用的なデザインとなっている。EVならではのトルク感あふれるスムーズな走りと静粛性、そして排出ガスゼロのクリーン性能が魅力。試乗時は空荷のため回生ブレーキの効きやハンドリングにやや違和感を覚える場面もあったが、実際の積載状態では自然な感覚で運転できるだろう。

FOTONは「よりスマートで持続可能な輸送社会」をめざし、地域に最適化したモビリティを提案している。日本市場でも新しい物流の形を提示するブランドとして、今後の展開が楽しみだ。販売:トラックオーコク(0120-966-547)。

 

【山城利公(やましろ・としまさ)】
1963年・東京生まれ、モータージャーナリスト/プロドライバー
200万km(20年・地球50周以上)におよぶ無事故運行の実績を持ち、商用車技術と物流業界に精通。実体験と現場視点をもとに、クルマ社会の「今」と「未来」を発信している。
大型けん引免許/自動車整備士(国家資格)/整備管理者(選任資格)/国内競技運転者許可証A級(JAF公認)/日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

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