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2023年07月12日 17:25 / 車両・用品
日本貨物鉄道(JR貨物)とコマツは7月12日、23年4月にコンテナ用フォークリフトのガイダンス・セミオート機能に関する共同開発契約を締結し、6月に両社の関係本部長による共同開発契約の締結式を行ったと発表した。両社は今後、本機能を搭載したフォークリフトの量産開発を目指し、実用化技術の共同開発を進める。
<共同開発契約の締結式。(左)JR貨物 取締役兼常務執行役員(経営統括本部長)篠部 武嗣氏、(右) コマツ常務執行役員CTO(兼)開発本部長 草場 泰介氏>
この共同開発の背景には、コンテナ用フォークリフトの運転操作の難易度の高さがある。近年、トラックドライバー不足や輸送段階における環境負荷の低減から、貨物鉄道輸送への転換が進んでいるが、一方で貨物駅では労働人口の減少による熟練した荷役作業オペレーターの確保や人材育成が課題となっている。
JR貨物のコンテナ荷役は、主にコンテナ用フォークリフトが用いられるが、フォークリフトオペレーターは運転操作の習熟のほか、荷役作業の段取り、荷役、およびダイヤ乱れに対応した臨機応変な運用判断が求められ、経験の浅い新人オペレーターにとっては運転操作の難易度の高さ及び視認性の問題等から、とくにコンテナに対する正対動作やフォークポケットに挿すフォーク位置の調整にも苦労する。荷役作業の誤操作には、車両脱線や積載済コンテナへの接触のリスクなどもあり、荷役作業の生産性と安全性の向上が大きな課題となっている。
コマツでは、これらの課題を受けて、2019年からJR貨物のコンテナの約9割を占める12ftコンテナを扱うエンジン式フォークリフト
「FH120」をベースに、操作ガイダンス機能と操作セミオート機能の先行研究を開始している。
<コマツ FH120>
「操作ガイダンス機能」では、車体と作業機周辺に複数のカメラ等センサを設置。オペレーターが直接視認しにくいフォーク先端高さや、中心位置をモニタ表示することで支援する。同機能ではコンテナを適正な位置で保持しているかを検出し、適切でない場合にはオペレーターに警告を促し、周辺コンテナへの接触及びコンテナ落下事故を防止する。
<操作ガイダンス機能のイメージ>
「操作セミオート機能」は、LiDAR等の外界センサにより、荷役対象コンテナの位置を認識。オペレーターのアクセル操作のみでフォークリフトを自動的に荷役対象コンテナへ正対させることができるというもの。また独自の荷役対象認識技術により、フォーク位置を正確に自動制御する。
<操作セミオート機能のイメージ>
この先行研究において、本機能がオペレーターの作業負荷軽減に大幅な効果が期待できることが確認されたことから、今回の共同開発契約締結を通じ、今後は両社にて本機能を搭載した量産車両の共同開発を進め、2024年度から全国の貨物駅へ21台の車両導入を目指すとしている。