三菱ふそう/新型スーパーグレートの先進安全装備のデモを公開

2024年07月30日 15:36 / 車両・用品

三菱ふそうトラック・バスは7月23日、同社喜連川研究所で大型トラックの新型「スーパーグレート」に搭載された安全装備のデモを公開した。

<新型スーパーグレート>
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昨年10月25日に発表された新型スーパーグレートは、経済性、安全性、快適性、操作性の向上をコンセプトに開発されたのが大きな特徴。特に経済性の面では、キャブデザインの一新により空気抵抗を改善した他、エンジンも12.8Lの新型6R30エンジンを搭載するなどの改良によって、2025年度重量車燃費基準(JH25モード)にも適合させるなど高い実力を実現している。

そして、これと同時に安全性能も充実。大型トラックが関連する事故は依然として少なくないが、新型スーパーグレートはダイムラー・トラック・グループの中でも最新となる先進安全装備を搭載し、安全性を大きく高めている。商品・経営戦略本部 大中型トラック・バス商品プロジェクト部の伊原忠人氏は「なるべく事故が起きないように、起きてしまった場合でも衝突被害を軽減できるように安全支援を進めている」と説明する。

<大中型トラック・バス商品プロジェクト部の伊原忠人氏>
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具体的な取り組みとしては、まず衝突被害軽減ブレーキの高性能化だ。新型スーパーグレートが搭載する最新の「アクティブ・ブレーキ・アシスト6(ABA6)」は、ハード、ソフトの改良で障害物の検出精度を向上させたのに加え、ECU間の通信高速化による反応速度を向上させている。これまでよりも早期に前方の障害物を発見し、かつ素早く対応ができれば、それだけ衝突を回避できる可能性が高まるというわけだ。

<ABA6では、走行中の自転車や、複数で路上を移動中の歩行者なども検知可能になった>
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さらに右折時と追い越し、追い抜き時の衝突被害を軽減すべく、「アクティブ・サイドガード・アシスト2.0」を搭載した。従来のアクティブ・サイドガード・アシストは、左折時の巻き込みを防止するため車両左側の障害物しか検知していなかったが、今回搭載した「2.0」では車両右側(運転席側)の障害物も検知するように進化。右折時の事故を防止する。

というのも大型トラックの事故は、左折だけでなく右折時も多いからだ。事業用大型トラックが第一当事者となった死亡事故の約25%は左折時の衝突だが、約7%は右折時の衝突事故が占めている。右左折時の衝突事故の被害軽減は「メーカーの使命」と伊原氏は語る。

また、大型トラックは運転席が高い位置にあることから、車両直前の障害物が直視できない。そこで、これをカバーすべく新たに「フロント・ブラインドスポット・インフォメーション・システム(FBSIS)」を搭載した。車両前部に近接した歩行者や自転車を検知すると、警報音と表示でドライバーに注意し、事故を防止する仕組みだ。

当日は、まずABA6のデモを披露。6歳児程度という小型のダミーに向けて、新型スーパーグレートを走らせる。小さなダミーだが、かなり手前から検知しスムーズに減速。余裕をもってダミーの手前で停車できた。

<小型のダミー人形でもしっかりと認識>
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前方認識カメラとレーダーで障害物を検知するのは従来のABA5と同じだが、ECU間通信をよりスムーズにすることで、早いタイミングで次のアクションを起こせるよう改良され、検知精度も高められている。このため、例えば車線変更時に直前に他車がいた等、従来のブレーキ・アシスト5では追従が追い付かなかったケースでも、新型では十分に対応できるという。

続いて「フロント・ブラインドスポット・インフォメーション・システム(FBSIS)」を体験。車両の直前を歩くスタッフをセンサーが捉えると、メーター内に警告が表示される。運転席からはスタッフの姿はほとんど直視できないが、正確に素早く人を検知し、ドライバーに知らせてくれる。もちろんサイドアンダーミラーでも確認できるが、それよりも音と警報表示でハッキリと知らせてくれるので、より安全だ。

<メーター内の表示で車両直前の歩行者を知らせる>
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周回路に移動して、今度は「アクティブ・サイドガード・アシスト2.0」を体感する。ヘッドランプ部と前輪横に備えたセンサーで障害物を捉え、衝突を防止する機能だ。走行中、左右に並走する車があると、警報音とランプで表示。死角に入って確認しにくい車も素早く捉え、車線変更の際の衝突を避ける。雨や夜間など、並行する車や自転車を目視で確認しにくい状況でも、これならば状況をすぐに把握でき、事故を防ぐことができる。

<車両側方の障害物を捉えるセンサー>
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このように、最新の安全装備を搭載した新型スーパーグレートだが、同時に走行中に感じたのは、非常に快適だということ。加速が滑らかで、乗り心地も良い。開発ドライバーに聞くと、先代のスーパーグレートはややパワー不足で、勾配が急な箇所では速度が出ず苦労したというが、新型では余裕で走行できるという。「運転が楽になりました」とドライバー氏。

伊原氏も「運転支援技術は搭載しているが、最後に車の安全を守るのはドライバー。疲れずに最後まで運転に集中してもらうことが事故防止につながる」と語る。新型スーパーグレートではハイルーフも設定するなどキャビンの快適性も高められたが、それも事故防止につながっている。「ドライバーにストレスなく過ごしていただくことが、安全にも費用軽減にもつながる」と伊原氏。輸送の効率化に向けたトラックメーカーならではの取り組みが結実した新型スーパーグレート。大型トラックのレベルを大きく向上させる実力モデルであることが、この日のデモで実感できた。(編集部)

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