NLJなど/自動運転×共同輸送実現に向けた取り組み内容を披露

2025年03月06日 14:48 / 施設・機器・IT

NEXT Logistics Japan(NLJ)、ヤマト運輸、ダイナミックマッププラットフォーム、BIPROGYの4社は3月5日、「自動運転を支援するデータ連携システム」について公開した。

このシステムは、自動運転トラックの安全な走行およびスムーズな共同輸送による物流最適化の実現を目指し開発を進めているもの。今年2月25日~27日に新東名・駿河湾沼津SA―浜松SA間で実施した自動運転トラックの走行実証で、同システムによる自動運転トラックの走行安全性、共同輸送の効率化の実現性の検証が行われ、その内容が公表された。

<走行実証に使用したレベル2自動運転トラック>
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ドライバー不足への対応として実用化が期待される自動運転トラックだが、実際に現状のトラックドライバーが担っている役割は運転だけでなく、荷役作業や点検・保守・給油作業、さらに運行管理者・荷主と連携したトラブル対応など幅広い。無人でのトラック輸送を実現するには、これらにも対応するシステム化する必要があり、それが「自動運転を支援するデータ連携システム」というわけである。

大きく見ると、通行止めや気象変化等の「道路・環境の情報」、走行状況や位置など「車両の情報」、荷物・量・納期等の「物流・荷物の情報」の3つのデータを連携させていく必要がある。

そこで走行実証では、トレーラを一時的に保管するモビリティハブの間を自動運転トラックで運行する想定で実施。渋滞による遅延があった場合、それに伴う配送計画の変更や荷主への報告が可能か、また気象状況や車両故障などが生じた際に停止場所を検索・通知できるか等、多くの検証が行われ、豊富なデータが得られたという。

<走行実証では多くの項目が検証された>
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一方、自動運転トラックが実用化されても、積載率が低い状況では非効率である。また「約6万社の運送事業者が、それぞれ自動運転トラックを運行するというのは非現実的」(NLJ梅村幸生社長)だ。

そこで開発を進めているのが、自動運転車に合わせた共同輸送システムだ。主な機能は4つ。「車両情報×荷物情報で高効率な運行計画の策定」、「車両情報×荷物情報×環境情報の連携による運行計画の見直し」、「ブロックチェーンを活用した荷物伝票/引き取り証の改ざん防止」、「物流情報標準ガイドに基づいた共通プロトコル」である。

<自動運転トラックによる高効率輸送にはモビリティハブが重要な位置を占める>
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このうち「ブロックチェーンを活用した荷物伝票/引き取り証の改ざん防止」は、トレーラ単位の共同配送が可能になると、不可欠なものになる。構想では、自動運転トラックで運んできたトレーラは、モビリティハブで無人で切り離し、有人ドライバーがそのトレーラを納入先まで運ぶ。この際、悪意を持った有人ドライバーが異なるトレーラを持ち出す可能性があるというわけだ。特にトレーラの分離/連結計画を守る必要がある。

そこで、これを防止するための機能が、「ブロックチェーンを活用した荷物伝票/引き取り証の改ざん防止」だ。どのトラクタがどのトレーラを牽引するかIDで紐づけることで、トラクタのIDだけを書き換えてもトレーラを奪えないようにする。また、混載計画や荷受人等に関する情報をブロックチェーンに書き込むことで、改ざんされた場合に検出できるようにするという。

<将来の高効率な幹線輸送の主力として実用化が期待される「幹線向けダブルストレーラ」>
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一方、会場で注目を集めたのが、参考展示された「幹線向けダブルストレーラ」だ。

これは自動運転×共同輸送のオペレーションに合わせた車両形態として考えられているもの。1台のトラクタで2台または3台のセミトレーラを牽引することで輸送力を最大化し、高効率な輸送を実現するというもの。

モビリティハブ間の幹線輸送は、この無人ダブルストレーラーで行い、到着したモビリティハブでセミトレーラに組み替えて、目的地まで有人で運べば、荷物の積み替えなしで直通運行が可能になる。逆にいえば、ハブでの荷物積み替えが高効率化輸送の妨げになっているということでもある。

現在のダブル連結トラックは、大型トラックの後ろにフルトレーラを連結したものだが、この場合、積み替え作業が生じてしまう。これに対して積み替え作業が不要なダブルストレーラでは、冷凍貨物や海上コンテナの保税運送、タンクローリーの液体など、積み替えできない貨物にも対応することができ、多様な運行形態や荷姿に対応したフレキシブルな運用が可能になる。積載量も16トン+16トンの32トンで、ダブル連結トラックの約23トンより多くの荷物を一度に運ぶことができる。

<トレーラを活用することで効率的な運用が可能になる>
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ただし、これを実現するには規制緩和が必要。参考値にはなるが連結全長は約29mで、ダブル連結トラックの約25mより長く、連結時の総重量は約58トンで、ダブル連結トラックより14トン重い。このため連結全長や牽引車両台数の規制を変更する必要があり、道路の構造も考慮する必要がある。

さらに牽引するトラクタには490ps以上の出力が求められるが、加えてエアサスの3軸であることが必要になるため、車種が限定されてしまうという。また、連結組成するための広大なエリアも必要になることから、インフラ整備も同時に必要になることなどが課題だ。

<トレーラの連結部はダブル連結トラックと同様のものを採用している>
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今回公開された「自動運転を支援するデータ連携システム」は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)公募「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業/デジタルライフラインの先行実装に資する基盤に関する研究開発」の取り組みとして行われたもの。

NEDOの半導体・情報インフラ部デジタルプラットフォームチーム坂間則幸主査は「この取り組みは今回が初年度ということもあり、スタート時にはいろいろとご無理を申し上げたところもあった」と振り返りつつ、「その成果に嬉しく思っている」と評価。来年度以降にも引き継いでいきたい、と今回の取り組みを総括した。

NLJ、ヤマト運輸など/自動運転支援システムを開発、新東名で走行実証

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