日本郵便/全国2391局で不適切点呼、合計15万1000回
2025年04月23日 17:35 / 労務
日本郵便は4月23日、近畿支社管内で1月に発覚した点呼不備事案を受け、全国の郵便局において行った「点呼業務執行状況の調査」結果を発表した。
全国の3188の営業所を対象に調査を行ったところ、不適切な点呼があった営業所は2391、適切な点呼をした営業所は726、不明は65となった。不適切な点呼は15万1000回、適切な点呼は40万9000回、不明な点呼は1万8000回だった。
調査は、郵便局ごとの1週間の四輪車両の平均稼働台数に応じて、1週間~最大1カ月間の期間における全ての乗務前及び乗務後の点呼執行状況を確認。調査期間中の点呼が100回に満たない場合、最大1か月の範囲内で、100回以上になるまで遡って調査した。近畿支社管内の小規模局は1月30日、それ以外の郵便局は3月2日から遡った。
その結果、日本郵便では点呼不備の原因について、「意識の欠如」「ガバナンスの不足」「職場のマネジメントにおける課題」「点呼に関するマニュアルの一部誤規定」と分析している。
■「周囲もやっていないから、自分もやらなくていい」という声も
「意識の欠如」では、本来、運送事業者として車両を利用する限りは「点呼と運送はセット」であるというプロ意識を持って従事する必要があるにもかかわらず、その意識が希薄化していた。調査においても「周囲もやっていないから、自分もやらなくていい」、「点呼は面倒だから管理者がいる時のみやっていた」、「業務繁忙の時は行わなかった」という声が多く確認された。
また、飲酒をしない社員からは、「自分は飲酒しないのでアルコールチェックは不要だと思っていた」といった意見も多くあった。自分は飲酒しないとしても、会社全体としては深酒等を行う者は一定数存在し、外見ではその判断ができないことから、全体としてアルコールチェックを実施しなければ、結果的に他の者が飲酒運転を行うことを防止できないにもかかわらず、ルールを守ることが徹底できていなかった。
特に乗務後のアルコールチェックについては、「勤務時間中に飲酒をする社員がいるはずはない」という思い込みなどから、その必要性が十分に認識されておらず、乗務前に比べアルコールチェックの実施率が低くなっていた。実際には戸塚郵便局で勤務時間中の飲酒運転事案が発生し、「勤務時間中に飲酒をする社員がいるはずはない」という考えは誤った認識であり、その事案を全局の社員に周知し注意喚起していたにもかかわらず、誤った認識を改善させるまでには至らなかった。
さらに、形式的に書類が整っていれば検査等でも発覚しないとの考えから、点呼を実施していないにもかかわらず、点呼記録簿は作成するという行為が行われていた。
■関係帳票や書面上は適切に実施、本社・支社で検知できず
ガバナンスの不足のため、多数の郵便局で点呼が適切に実施されていないにもかかわらず、関係帳票の書面上は適切に実施しているように記載されていたことから、本社・支社で検知することができなかった。
これは、「本社・支社において点呼の適切実施をモニタリングするという意識が希薄であったこと」「郵便局管理者に対しても正確な職場実態の把握の必要性を浸透させられなかったこと」「本社・支社の物流オペレーション関係部署や検査部門が直接実施又は郵便局管理者に実施を指示している定期や都度の点呼執行状況のチェック・モニタリング手法が、定点のみの実査や関係帳票の書面による内容に留まっていたこと」が原因と考えられる。このチェック体制の甘さが点呼未実施を誘発し、また問題を長期に潜在化させた面がある。
また、点呼の記録もアナログな紙媒体・人の手による形で行われており、実態を客観的かつ正確に管理できる方法となっていなかった。
■点呼実施は認識も、実施が不徹底
職場のマネジメントにおける課題もあり、点呼の適切実施については指導されていたという意見が多く、やらなければいけないという認識自体はあっても決められたことを実施するということが徹底できていなかった。
その原因として、郵便局管理者において適正な点呼が行われているかを管理する意識が希薄であったために現状の把握が疎かになったことに加え、不備を感知した際も是正指導や本社支社への報告が行われなかったという問題があった。
また、今般の全国調査において点呼実施方法について確認する中で、一部の点呼実施方法について、誤った点呼実施方法がマニュアルに規定されていることが確認された。
■防犯カメラを活用し再発防止
これまで点呼の実際の執行状況を事後的に確認する手段は、点呼記録簿とヒアリングのみであったが、2025年4月以降、点呼は局内の防犯カメラに映る位置で必ず対面で実施することとし、執行状況を映像証跡により確認できる状態とした。さらに管理者が定期的にカメラ映像を確認することで、点呼が実際に適切に行われていることを把握することとしている。
今後、「社員研修を通じた点呼の重要性の意識付け」「書面のみを整える組織風土の改革」「ガバナンスの強化」「点呼のデジタル化」「貨物軽自動車安全管理者の早期選任」を実施する計画だ。
■日本郵便の会見についてはLNEWS参照
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