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2023年05月26日 13:49 / 業績
全日本トラック協会は5月25日、「経営分析報告書 令和3年度決算版」をとりまとめ、公表した。
この報告書は、全国の事業者2826者(有効数)から提出された2021年度決算(2020年10月から2022年8月)の「一般貨物自動車運送事業報告書」について、決算内容を分析したもの。
それによると2021年度は、営業収益(貨物運送事業収益)は増加したものの、営業損益、経常損益ともに悪化。営業損益段階の黒字事業者の割合は39%で、車両10台以下の区分では65%が営業赤字、46%が経常赤字となった。コロナ禍での業績回復は大規模事業者が中心であり、中小規模事業者の業績回復力は依然として鈍く、厳しい状況が継続、コロナ禍における業績回復は事業規模による格差が大きいとしている。
<営業収益・営業損益率・経常損益率(貨物運送事業、1者平均)>
■営業収益
新型コロナウイルス感染拡大の影響は残るものの、徐々に経済活動が再開され、貨物輸送量は増加。これに伴って売上高及び営業収益(貨物運送事業収入)は回復基調で推移している。
1者平均の売上高(兼業分を含む全ての売上高)は2億4478万5000円で、前年度の2億3326万5000円に比べ増収となった。うち営業収益は2億4320万7000円で、前年度に比べ4.8%増となった。
ただし、これを車両台数別で見ると、増加率にはばらつきがある。101台以上の事業者では前年度比11.7%と大きくプラスになったのに対し、10台以下は1.7%、51台~100台は1.2%増と微増に留まる。ただし21~50台の事業者は8.3%増と伸長率が高く、台数規模と伸長率は必ずしも比例していない。
また地域別では、関東が0.4%減、近畿が8.3%減とマイナス推移となった一方、九州は23.7%増と大きく伸長。次いで中国が10.2%増、北陸信越が8.7%増と数字を伸ばした。
■営業損益
貨物運送事業における営業損益は、前年度▲101万1000円から122万円減少し、本年度▲223万1000円となった。
営業収益営業損益率(貨物運送事業)は▲0.9%と、前年度比で0.5ポイント悪化した。営業収益は増加したものの、燃料価格が高騰、高止まりしたことが影響している。
車両規模別では、101台以上が0.8%で黒字となったものの、前年度比で0.9ポイント悪化。それ以下の規模では前年度との差は小さくなるものの、21~50台で▲0.7%、10台以下では▲3.9%とマイナスが大きくなっている。
地域別では各地域いずれも前年割れ。北海道、九州は前年度より1.1ポイント悪化、東北も0.9ポイント悪化と厳しい状況が続いている。
■経常損益率
貨物運送事業における経常損益は、前年度221万2000円から69万3000円減少し、本年度151万9000円となった。
前年度の営業収益経常損益率(貨物運送事業)は1.0%と大幅に改善したが、2021年度もコロナ関連の助成金収入が計上できたことから、0.6%に踏みとどまった。
車両規模別では、10台以下で1ポイント悪化し▲1.6%。11~20台も0.5ポイント悪化しており、小規模事業者ほど厳しい状況が続いている。
地域別では、北海道が1.1ポイント、九州、四国が1ポイント悪化。近畿は0.2ポイント悪化しマイナスとなった。一方で北陸信越は0.5ポイント増加し堅調に推移している。
■黒字事業者の割合
貨物運送事業における黒字事業者の割合として、営業損益段階の黒字事業者は39%と、前年度から5ポイント悪化、経常利損益段階の黒字事業者は54%と、前年度から3ポイント悪化した。
<黒字事業者の割合推移>
またキャッシュフローは前年度1590万1000円から8.5%(135万2000円)減少し、1454万9000円となった。トラック運送事業では、損益ベースでは厳しい状況が継続しているが、多額の減価償却費、借入金等により、資金繰りを確保する状況が続いている。
<キャッシュフローの割合>