トーヨータイヤ/小口配送とEVに最適な小型トラック用タイヤ2種を発売

2024年04月24日 15:52 / 車両・用品

トーヨータイヤは4月24日、小型トラック用リブタイヤの新製品「DELVEX(デルベックス) M135」と、小型EVトラック専用リブタイヤ「NANOENERGY(ナノエナジー) M151 EV」の発表に伴い、都内で報道陣向けの説明会を開催した。

<左から技術開発本部TB開発部 藤岡剛史パターン設計リーダー、 水谷 保技術開発本部長、商品企画本部 杉本裕昭生産財商品企画部長>
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説明会の冒頭、水谷 保技術開発本部長は「昨今、物流業界ではEコマースに伴う小口配送が増加する一方、ドライバーやメンテナンスの人手は不足する状況。また温暖化の影響で突然の大雨や大雪といった中でも荷物を届ける必要がある。トーヨータイヤとしては、そのような環境下でも物流を支えるため、顧客の困りごとに対応した商品開発を進めている」と挨拶。今回発表した2種の新商品はそのような背景から開発した商品であると説明した。

<DELVEX M135>
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まず「DELVEX M135」は、小口配送をターゲットに開発した小型トラック用リブタイヤで、摩耗ライフや低燃費性能の向上はもちろん、安全性能を向上したのが大きな特徴。

これは、未経験ドライバーの増加に対応するため。Eコマース市場の成長によって小口配送の需要は増している一方、2024年問題もあってドライバーの数は不足しており、今後、未経験ドライバーの採用が増加するものと予測される。そのため経験の浅いドライバーでも、濡れた路面で安心してブレーキを踏めるという、安全性能に優れたタイヤが求められるというのが大きな理由だ。

これを実現するため、新タイヤ「M135」では、新開発の耐摩耗LT専用トレッドコンパウンドと、小型トラック専用設計の新パターンを採用。摩耗ライフを向上させると同時に、高いウェット性能を実現している。

まず耐摩耗LT専用コンパウンドは、独自のナノバランステクノロジー技術によって、開発された新配合を採用。具体的には、枝分かれが少なく、ポリマーが変形しても切れにくい耐摩耗ポリマーと、ポリマーとの接点が増える微小サイズのカーボンを組み合わせることで、耐摩耗性能を向上させている。

<配合設計>
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また専用設計の新パターンは、空車時の設置面積が拡大するよう設計されているのが大きな特徴。小口配送は運行形態上、空車走行が多くなるが、センター部分をワイドにすることで設置面積を拡大し、積車時から空車時まで幅広い荷重域でのグリップ力を確保したという。

<M135で採用した新パターン>
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さらに、中央部には大型のセンターブロックを配置して過度な動きを抑制し、低燃費性能と耐摩耗性能を向上、ショルダー部には大型マドと設置端サイプで旋回時に発生する横力を緩和し、偏摩耗を防止する。これらにより従来の「M134」と比べ、耐摩耗性能は32%、転がり抵抗は16%向上している。

発売日は6月1日。展開サイズは6月に8サイズを発売、8月に8サイズを追加発売する。

<展開サイズ>
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<NANOENERGY M151 EV>
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一方、「NANOENERGY(ナノエナジー) M151 EV」は、小型EVトラック向けに開発した専用タイヤ。国内メーカーでもEVトラックのラインアップ拡充が進み、また環境を重視する運送事業者でもトラックのEV化が徐々に進んでいることから、今後はEVトラック向けタイヤの需要拡大が期待される。

ただ、EVトラックと通常のディーゼルトラックでは、車両特性が異なることから求められる性能がやや異なる。EVトラックでは、1回の充電で可能な走行距離が重要なため、タイヤの低電費性能は必須であり、またEVの特徴である大トルク(モーター駆動や回生ブレーキ)やバッテリー搭載による重い車重などに適したタイヤが求められる。

<EVトラック用タイヤに求められる性能>
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そこで「M151EV」では、EV専用非対称パターンを採用し、「トラクション性能」と「耐摩耗性能」を高次元で両立させたのが大きな特徴。これはリブタイヤとオールウェザータイヤのパターンを組み合わせたもので、低電費性能や耐摩耗性能などに優れたリブタイヤのパターンをOUT側に、トラクション性能やグリップ力にすぐれたオールウェザータイヤのパターンをIN側に採用している。

<M151 EVのトレッドパターン設計>
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またコンパウンドには、ナノバランステクノロジーを活用した「耐摩耗NCPコンパウンド」を新採用。従来のコンパウンドに比べ、耐摩耗性能に優れた配合とすることで、低電費性能に加えて耐摩耗性能も向上。従来品「M125ZB」に比べ、摩耗ライフは21%向上、転がり抵抗は2%低減している。

発売日は6月1日。展開サイズは「215/70R17.5 123/121J」の1サイズ。現在は事実上、三菱ふそうeキャンター専用タイヤということになるが、今後、「市場動向を見ながら、バス用も含めてサイズ展開を拡大していきたい」(水谷本部長)としている

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