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2025年01月21日 16:49 / 経営
帝国データバンクが1月20日に発表した、全国企業「休廃業・解散」動向調査(2024年)によると、運輸・通信業の休廃業・解散は、706件(前年比8.3%増)となった。
トラック輸送などを中心に運輸業での増加が目立った。
<業種別(大分類)休廃業・解散件数(2020~2024年)>
全体で見ると、2024年の休廃業動向は、11年ぶりの高水準となった企業倒産(法的整理)と同様に、大幅な増加傾向で推移した。特に、2024年の休廃業・解散では、平常時であれば安定した事業継続が可能な「黒字・資産超過」の割合が過去最小となったほか、70代以上の高齢経営者による休廃業・解散が6割超を占めるなど、休廃業の現場における高齢化が一段と進行している点が特徴となった。
足元では、中小企業支援の軸足が「資金繰り」から「事業再生」へと変化するなか、自力再建が困難な企業では余力があるうちに事業を畳む前向きな廃業を後押しする取り組みが進んでいる。ただ、近時はコロナ禍からの業績回復が円滑に進まないことに加え、深刻化する人手不足への対応や後継者不足問題、原材料価格や人件費、物流費など各種コストの増加分を販売価格に反映する価格転嫁が十分に進まないといった、四重・五重の苦境に立たされている中小企業は少なくない。
また、本来は廃業を志向していたものの、収益力低下による手元資金の流出といった経営面のダメージが広がり続けたことで、法的整理など「ハードランディング」を選択せざるを得なかった企業も水面下で増加したとみられる。結果として、2024年のトレンドは「倒産・廃業の大幅増」での推移となった。
近時は、無理に事業を続けて経営資産を目減りさせた結果、廃業のステップを踏むこともできない状態へ至るよりも、M&Aなどを活用して予め経営資産を第三者に引き継いだ上で事業を畳む方が望ましいという「前向きな廃業」の考えが浸透し、業界大手の企業が自主廃業を決断するといった事例も出始めている。
2025年以降も、人手不足の解消や後継者の選定といった経営上の課題が山積するなかで、「自力での事業継続」か「円満な廃業」か、将来を見据えた経営判断を迫られる機会はより増加するとみられる。一方で、企業の自主的な廃業の増加に伴い、販路を失った取引先やサプライチェーンを担う事業者が連鎖的に事業継続を断念したケースも目立ってきた。
「経営者保証に関するガイドライン」の改定をはじめとした各種廃業支援による市場環境の整備と同時に、取引先の突然の廃業を未然に防ぐ「サプライチェーン事業承継」といった考え方の導入など、高まる連鎖廃業・連鎖倒産のリスクをいかに軽減するかといった取り組みも、中小企業支援策として同時並行で進めることが求められる。