国交省/「自動物流道路」実装に向けて第1回会合開催、中野大臣など160名が参加

2025年05月16日 17:07 / 施設・機器・IT

国土交通省は5月16日、「第1回 自動物流道路の実装に向けたコンソーシアム」を開催した。

このコンソーシアムは、トラックドライバーに対する時間外労働の上限規制の適用や担い手不足などの物流危機への対応、温室効果ガス削減に向けて、新たな物流形態として道路空間を活用した「自動物流道路」の構築に向けた検討を進めるため設置されたもの。第1回会合には、約160名が参加した。

<中野大臣>
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冒頭、挨拶に立った国交省の中野洋昌大臣は、「物流は国民生活や経済活動、地方創生などを支える重要な社会インフラだ。特に戦後以降の我が国の物流は、トラック輸送が中心となってきた。インフラ面からも、高規格道路の整備などによる物流ネットワークの強化に取り組んできた。しかしながら、現在、物流は担い手不足という構造的な問題を抱えている。2024年問題に端を発した輸送力の低下、カーボンニュートラルへの対応など、さまざまな課題を抱える危機的な状況にある」と現状認識を示した。

その上で、「目の前の課題に対して適時、的確に対応する必要があるが、一方で、『20年先、30年先の日本の将来をどう支えていくのか』中長期的な視点に立って抜本的な課題に対応することが必要だ。その一つとして、これまで取り組んできた物流ネットワークとしての道路を、トラックが走るだけではなく、物流のためにもっと有効活用できないか、道路インフラを活用できないかという観点に立ち検討が始まったのがこの自動物流道路だ」と説明。

「道路空間に物流専用のスペースを設け、クリーンエネルギーを電源とする無人化、自動化された輸送機関によって貨物を運ぶ。これは、将来の日本を支える新たな物流システムになると考えている。自動物流道路の実装は、物流全体の在り方に大きく影響を与えるものであるとともに、旅客輸送を含む社会全体の利便性そして生産性の向上、そして物流のカーボンニュートラルの実現につながることが期待される。真に社会の役に立ち、使っていただけるインフラとするためには、行政の議論だけではなく、このコンソーシアムに参加をいただいている将来的な利用者あるいは運営者となる方々、そして物流のオペレーションや建設にノウハウや技術を持つ方々と一緒に、知恵を出し合って議論していく必要がある。本日はその第1回であり、物流の危機を転機に変え、未来の日本社会を支える持続可能な物流の姿を描き、そして実現していくために皆様方からお力添えをいただきたい」とコンソーシアムへの期待を語った。

<真貝会長>
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また、日本物流団体連合会の真貝康一会長は、「政府の物流革新に向けた政策パッケージにも含まれている自動物流道路の構築がコンソーシアム設置という形で具体的な一歩を踏み出すことに大きな関心を寄せている。これまでの検討会において、『規格化・標準化の問題』『ラストワンマイルとの円滑な接続の問題』『鉄道、海運といった既存の幹線物流システムとの関係』といった課題が提起されたと承知しているが、今後このコンソーシアムを通じてより議論が進化することを期待している」と述べた。

続けて、「ここで2点お願いをしたい。1点目として、我々物流事業者は、長年の経験を通じて荷主の獲得、事業者間の連携といった豊富なノウハウを蓄積している。物流各社の判断も尊重してもらい、また、それぞれのノウハウ・特性が生かされる形で事業に参画できるように配慮いただきたい。2点目として、我々、物流事業者は多くの責任を有している。荷主に対する運送責任のほか、安全・円滑安定的な輸送の確保が、社会全体に対する責任でもある。これらの責任は、事業規制という共通のルールによって担保されている。今回の事業が実際の運営された段階で、共通の土俵の上で健全な競争と協調が行われることを強く期待する」とコンソーシアムへ要望した。

<羽藤委員長>
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検討会の羽藤英二委員長(東京大学大学院工学系研究科教授)は、「自動物流道路に比肩するプロジェクトは何かということを考えた時、日本でいえば新幹線プロジェクト、当時の全国の高速道路ネットワークの整備に相当するプロジェクトだと思う。自分が参加するプロジェクトが改めて壮大なものであることに、自分でもびっくりした。大きなプロジェクトだから難しさもある。『設計は技術に先行する』という言葉がある。『理念と目的の先行性』であるとか、あるいは『コンセプトが技術を導く』という言葉もある。まさに、自動物流道路というプロジェクトそのものが、非常に危機的な人口減少の中で、ドライバー不足などの問題を解決するために生まれてきた。いま、まさにそれを実現するための技術、ビジネスのインフラオペレーションを実現するために、皆様はここに結集している。この会議の創造的な議論が、今後の我が国を大きくイノベーションを引き起こす引き金となるというふうに信じている。発展、成功を期待している」とビデオメッセージを寄せた。

コンソーシアムには、「ビジネスモデル分科会」「オペレーション分科会」「インフラ分科会」の3つの分科会を設置。8月~9月に実証実験の公募を行い、11月~2026年2月に実証実験を開始、2026年3月以降に実験結果などの共有を行い、その後もフェーズ2の実証実験や事業シミュレーションの精査、具体的ルート、構造条件の設定などの検討を続ける。

<各分科会スケジュール>
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