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2025年07月28日 14:51 / 経営
帝国データバンクが実施した、改正下請法に関する企業の意識調査(2025年6月)によると、運輸業では「改正されることを知っている」71.2%、「改正されることを知らない」35.9%、「現在の下請法の内容も知らない」4.5%となった。
「知っている」の比率は、製造業59.4%、卸売業58.7%、サービス業55.5%、建設業52.8%、小売業47.1%で、運輸業の認知度が業種別では最も高い。
調査はインターネットで6月13日~30日に実施。有効回答数は3845名だった。主な改正内容の認識を尋ねたところ、「運送委託の対象取引への追加」を知っていたのは63.5%、あまり知らないは36.5%となった。
また、「協議を適切に行わない代金額の決定の禁止」を知っていたのは85.4%、あまり知らないは14.6%だった。
「改正されることを知っている」とした回答者に法改正の影響を尋ねたところ、発注者はマイナスの影響がプラスの影響を4.6ポイント上回った。受注者はプラスの影響が44.5%と過半には及ばなかったものの、マイナスの影響6.6%を大きく上回った。
発注者が、プラスの影響を最も期待しているのは、「長期的なパートナーシップ」が51.5%とトップ。次いで、「コンプライアンス体制の強化によるリスク低減」が29.0%、「ブランド価値の向上」が11.5%となった。
マイナスの影響を最も懸念しているのは、適正価格で取引を進めることによる「利益の圧迫」が23.3%。次いで「社内でのコンプライアンス教育・研修負担の増大」が21.2%、「資金繰りの悪化」が19.4%、「システム対応」が12.8%と続いた。
運用面においては、「従業員基準の追加」「運送委託の対象取引への追加」により、発注者の管理すべき対象企業と項目が増加することとなる。特に従業員数を定期的に把握する仕組みが必要となることから、管理面の負荷を懸念する声も聞かれる。法令順守へ向けた運用上の懸念を払拭するために社内での教育・研修や委託先管理に関するシステム対応がカギとなることが示唆される結果となった。また、改正により新たに発注者となる企業にも同様の対応が求められることになる。
主要な取引先との価格見直しに関する協議の頻度について尋ねたところ、年に1回以上実施している企業が42.4%となった。市場の変動に合わせて価格を見直す「受発注の都度」が35.1%となり、「年に1回以上」と合計すると77.5%となった。
価格交渉が商習慣として定着しつつあるものの、「2~3年に1回程度」が10.7%、「3年以上実施していない」が3.5%と、労務費・原材料費・エネルギーコストが上昇するなか、価格協議が適正頻度で行われていない企業もいることが分かった。
不公正だと感じる慣行や課題を尋ねたところ、「一方的な価格の決定や据え置き」が42.0%とトップになった。次いで、「曖昧な納期設定や急な変更」が29.5%、「手形による長期支払い・割引手数料の負担」(24.8%)、「不当な減額・返品」(20.8%)が続いた。
「一方的な価格の決定や据え置き」については、改正で対象取引に追加される「運輸業」が50.0%と最も高かった。帝国データバンクの「価格転嫁に関する実態調査(2025年2月)」において、価格転嫁率は31.3%と対象業種の中で最低水準にあり、課題が裏付けられる結果となった。
「改正されることを知っている」とした回答者に、改正が不公正な慣行の是正に寄与するか尋ねた結果、「寄与する」が62.1%(「非常に寄与する」6.8%+「ある程度寄与する」55.3%)となった。改正下請法の施行に対して、不公正な慣行の是正への期待がうかがわれた。
公正な取引関係を築くために、法改正以外に必要だと感じることについては、「発注者の企業文化・意識改革」が41.2%で最多となった。法改正されても、実際に取引を行う発注者側の意識が変わらなければ実効性が乏しいという問題意識の表れがうかがえた。受注者が不当な要求でも受け入れてしまうといった従来の取引慣行が根強く残っていることが背景にあると考えられる。
次いで「政府・行政による指導・監督の強化」が41.0%となった。改正された法律が適切に運用されているか、違反行為がないかを監視し、必要に応じて是正措置を取る行政の役割に対する期待の高さを示していると考えられる。