矢野経済/ドローン・配送ロボ物流、30年度198億円市場を予測

2024年02月07日 11:19 / 施設・機器・IT

矢野経済研究所は2月5日、「ドローン及び配送ロボットを活用した物流市場の調査」を発表した。

<ドローン及び配送ロボットを活用した物流市場規模予測>

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ドローンや自動配送ロボットを活用した国内物流市場について、黎明期である現在は「実証実験」から「社会実装」に移行すべく、技術開発・法整備・サービス/ビジネスモデルの構築が進められている段階。本格的に市場として立ち上がるのは2025年度頃になるものと見込まれているが、配送料・運送料ベースで2025年度に23億2000万円、2030年度には198億3000万円の市場になると予測している。

ドローンについては、過疎地域を中心に実証実験が進められ、これまで実証を重ねてきた地域では社会実装へ移るケースも複数出てきている。

23年末には、市街地など有人地帯を飛行する「レベル4」飛行と、無人地帯で補助員や看板を設置し人のいないエリアを飛行する「レベル3」飛行の中間に位置付けられる「レベル3.5」飛行が新設された。

<12月11日に北海道で実施した日本初のレベル3.5でのドローン配送>

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補助者・看板の配置や一時停止等、これまでの立入管理措置を撤廃し、道路や鉄道等の横断を容易化することで、ドローンによる事業化の促進を図る。そのため、2024年度以降は、機体や制度の面から「レベル4」が飛行できる体制が整うまで、「レベル3.5」飛行によるドローン物流の実装が進んでいくと予測される。

ドローンを活用した物流サービスとしては、日用品や食料品の配送サービスが最も多く、次いで医薬品の配送サービスが多い。その他、検体の輸送や重量物の搬送等にもドローン物流が活用されている事例がある。活用されるドローンの機体は、配送エリアや商材により異なるが、日用品や食料品の配送においては、マルチコプター型のドローンが最も活用されている。

ドローン物流サービスのユースケース

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ドローン物流の導入が多いのは、物流事業者としても一配送あたりの物量が少ない、かつ長距離のため配送効率が悪く、採算が合わない高齢者が多い過疎地域である。このため、地域の状況に合わせ、既存の輸配送手段と組み合わせて持続可能な物流網の構築を行うための手段の一つとして、ドローン物流の導入が今後も進んでいく見込みである。

なお、ドローン物流単体の事業としては、今後機体のコスト低減や「一対多」運航が実現し運用コストが下がることで、成り立っていく可能性があると考える。

<自動配送ロボット>

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一方、自動配送ロボットは、都市部や住宅地は「低速・小型」、郊外は「中速・中型」を中心にサービス展開や実証実験が行われている。

23年4月には道路交通法の一部も改正され、公道を走行する低速・小型の自動配送ロボットによる配送サービスが可能となった。現在は、これまで行ってきた実証実験や短期サービスをもとに、ユーザーニーズと合わせてビジネスモデルの構築が行われている段階にある。ただ、機体がまだ量産化されていないためコストが高く、実証実験を行う上で一つのハードルとなっている。

ドローン同様、自動配送ロボットも単体でのビジネスは難しいが、既存の物流手段では担えない夜間や早朝の配送等や、立地環境などから配送効率が悪い配送に関して、自動配送ロボットが請け負う仕組みを作る等、既存物流と合わせた形でビジネスモデルを模索していく必要があるといえる。2030年度頃にはビジネスモデルが構築され、機体の量産化が行われることで運用コストも下がっていくことが予測される。

また、中速・中型の自動配送ロボットについては、今後法律の整備やルールが策定されるとともに、2030年度頃までに地方都市を中心に社会実装が進んでいくと予測している。

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