三菱ふそう他/国内初「新型eCanter」EVごみ収集車を厚木市に納車

2024年03月11日 14:45 / 車両・用品

神奈川県厚木市、三菱ふそうトラック・バス、新明和工業の3者は3月9日、厚木市環境センター(厚木市金田)でEVごみ収集車の納車式を行った。

<ゴールデンキー贈呈式、左から厚木市循環型社会推進担当小宮部長、三菱ふそうトラック・バス国内販売・カスタマーサービス本部隅田販売統括部長、新明和工業特装車事業部石原営業本部長>20240311FUSO 1 1024x683 - 三菱ふそう他/国内初「新型eCanter」EVごみ収集車を厚木市に納車

今回、厚木市が導入したのは、2023年3月にフルモデルチェンジした新型eキャンターをベースに、新明和工業が架装したEVごみ収集車。新型eキャンターをベースにしたごみ収集車の自治体への導入は、今回が初となる。

<厚木市が導入した新型eキャンターごみ収集車>

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3者は2021年5月、循環型都市の実現並びに脱炭素社会および2050年カーボンニュートラルを目指して、EVごみ収集車に関する連携協定を締結。これに基づいて厚木市では、22年3月に先代eキャンターのEVごみ収集車1台を導入しており、厚木市では2台目のEVごみ収集車となった。また厚木市環境センターでは今回の導入に合わせ、急速充電器も導入した。

導入された新型eキャンターのごみ収集車は、標準幅キャブに41kWhのSサイズバッテリーを搭載した車両がベース。これに新明和の2トン車級プレス式の積込み装置を架装している。普通充電と急速充電に対応し、航続可能距離は116km(国土交通省審査値)となっている。

<新明和工業がプレス式塵芥車として架装>

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22年に導入したEVゴミ収集車は、ベースの先代eキャンターがワイドキャブの1種類のみであったため、車両サイズは全長6510×全幅2110mm、ホイールベースは3400mmと都市部のごみ取集車としては大きく、住宅街の路地などに入りにくいため、専用のごみ収集ルートを設定して運用せざるを得ないのが課題となっていたという。

<左が22年に導入した先代eキャンターごみ収集車、右が今回導入した新型eキャンターごみ収集車。車体サイズが一回り異なる>

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これに対して新型eキャンターは、合計28型式のシャシラインアップを展開しているのが特徴。このため、ごみ収集車に最適な車両サイズ(全長5230×全幅1890mm、ホイールベース2500mm)の選択が可能となった。

ディーゼルエンジンを搭載した通常のごみ収集車と同サイズとなったため、厚木市環境センターでは専用ルートではなく、路地に入る通常の収集ルートで運用する。

1日の走行距離は、ごみの量によっても変動するが概ね60~80km。収集は午前午後の1日2回で、午前の収集を終えると昼に急速充電し、午後の収集に行くという。普通充電しかなかったこれまでは夜間に充電し、満充電で朝に出発して1日走るかしかなく、大きすぎる車体サイズとあわせ、航続距離の点でも使い方が限られていた。

急速充電器は、ニチコン製の50kW(NQC-TC504)1基を環境センターの敷地内に設置。普通充電では満充電まで約8時間かかるが、急速充電では約50分で充電できるため、「機動性が上がり、普通のごみ収集車として使えるようになる」(担当者談)という。

<敷地内に設置された急速充電器>

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また、操作性や機能性は、通常のごみ収集車と変わらず、特に意識しないとのこと。先代eキャンターごみ収集車もこの点では同様で、導入以来特に大きなトラブルもなし。「寒い日の始動時に少し動きが鈍い時もある」程度だという。

厚木市循環型社会推進担当部の小宮和茂部長は「車体サイズが小さくなったことで機動性が上がり、急速充電器も設置したので、効果的に使えると期待している」とコメント。「2025年末の稼働を目指して建設している新しいごみ処理工場は、ごみを焼却した熱を利用して発電するので、EVを充電する電気も化石由来ではなくなる。協定の中で循環型都市と謳っているが、それを少しずつ実践していきたい」と挨拶した。

三菱ふそうトラック・バス国内販売・カスタマーサービス本部の隅田洋二販売統括部長は「(EVトラックは)ディーゼルエンジンを積んだトラックに比べれば後続距離が短い。おそらくこの3年間、厚木市も相当ご苦労されたと思う。いろいろな不都合もご不便も理解していただいて、それでも脱炭素に向けてやろうという声掛けが 日常的になければ、CO2の排出削減はできない」と指摘。

「本当に決意と信念がなければできない。それを厚木市はやられている。この波が神奈川県内全域に広がり、さらに日本全体に広がって、脱炭素、温暖化防止の流れに繋がっていくということを強く信じて、我々もメーカーとして最大限の努力をしていきたい」と力を込めた。

また新明和工業特装車事業部の石原秀朝営業本部長は「SDGsは喫急の課題。業界全体で取り組んでいる課題でもあるので、リーダーシップを持って引っ張っていきたい」とし、現在はまだ通過点であり、今後様々なデータなども活用しながら、ブラッシュアップしていきたい、と意気込みを語った。

■車両諸元
車両型式:ZAB-FEAVK
キャブ仕様:標準・ハイルーフキャブ
バッテリーサイズ:Sサイズ
バッテリー容量:41kWh
航続可能距離:116km
充電時間:普通充電(6kW)約8時間、急速充電(50kW)約50分
モーター出力:定格85kW(115ps)、最大110kW(150ps)
ホイールベース:2500mm
安全機能:衝突被害軽減装置、車両安定性制御装置、車線逸脱警報装置、LEDヘッドライト/インンテリジェント・ヘッドライト・コントロール、LEDリヤコンビネーションランプ、電動パーキングブレーキ、交通標識認識機能
その他仕様:外部給電機能(V2x)、ePTO(架装への動力供給)、Truckonnect(テレマティクス)

架装型式:GTO43-5434E
架装物駆動方式:ePTO型(電力供給式)
積込方法:プレス式
荷箱容積:4.0m2
車体寸法:全長5230×全幅1890×全高2335mm

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