三菱ふそう/イスラエル企業と次世代商用車技術の共同開発に向けた協業を開始

2025年11月18日 16:23 / 車両・用品

三菱ふそうトラック・バスは、イスラエルの自動車テクノロジー企業REE Automotive Ltd.(キブツ グリル-ヤム、以下REE)と、商用車における「X-by-wire(バイワイヤ)」技術およびソフトウェア定義車両(SDV)の共同開発および実証に関する基本合意書を締結したと、11月18日に公表した。

<三菱ふそう「eCanter」(左)とREEの「P7-C」>
20251118fuso - 三菱ふそう/イスラエル企業と次世代商用車技術の共同開発に向けた協業を開始

バイワイヤ技術は、従来の機械的な接続を電子制御に置き換え、ステアリングやブレーキ、アクセルなど主要機能の操作をセンサーと電気信号によって行う仕組み。車両の安全性や操作性の向上、軽量化や燃費効率の向上に加え、先進運転支援や自動運転技術の開発にも寄与する可能性がある。

一方、SDV(Software Defined Vehicle)はソフトウェアを通じて車両の機能や性能を制御・更新できる次世代の車両アーキテクチャであり、ハードウェアに依存せずにOTA(無線通信)による機能追加や改良が可能になる。これにより、車両の柔軟性や拡張性が向上し、車両寿命の延長や総保有コストの低減が期待されている。

三菱ふそうとREEは、このバイワイヤ技術とSDV技術の掛け合わせによる新たな可能性を探索・検証するための協業を開始した。この取り組みを通じて、エンドユーザーのコスト削減を目指しながら、車両のモジュール式構造や高度な設計自由度、優れた操作性、そしてより高度な安全機能を実現する次世代商用車の開発を進める。

協業の一環として、両社は共同で実証車両1台を1年以内に製作する予定だ。実証車両は、三菱ふそうの小型EVトラック「eキャンター」現行モデルをベースに、REEのEV向けシャシ「P7-C」の技術が盛り込む。また、三菱ふそうはREEの技術評価を継続し、将来のさらなる技術的協業に向けた可能性を探る。

<REEの「P7-C」(左)と「eCanter」>
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三菱ふそうは、2017年に国内初の量産型小型EVトラック「eキャンター」を発売し、2019年には大型トラック「スーパーグレート」で国内商用車初となる自動運転レベル2を市場投入するなど、商用車の先進技術開発を進めてきた。今回の協業でも、これまで培った知見を活かし、技術開発のさらなる加速を目指す。

REEは、電子制御ユニット(ECU)やOTAによるソフトウェア更新、SDVプラットフォームに関する知見を提供する。特にREEの「REEcorner」技術は、ステアリングやブレーキ、サスペンション、駆動システムなどの主要機能を各ホイールハウス内にモジュール化する「ゾーンアーキテクチャ」を特徴としており、車両設計の自由度を大幅に向上させる。また、クラウドサービス「REEai」を利用することで、遠隔でのデータ最適化や予防整備、包括的なフリート管理を可能にする。

両社の協業は、商用車の未来を切り拓く重要な一歩となる可能性がある。これによって、車両設計の革新や新たな技術の開発が加速し、持続可能な商用車産業の発展につながることが期待される。

三菱ふそう/水素駆動大型トラック開発、全方位で進める

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